伊東豊雄氏の建築展「台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡 2005-2014」が東京都港区のTOTOギャラリー・間で開かれている。05年のコンペから15年のこけら落としまで10年。「他の通常の建物とはまったく異質なものをつくっている感覚」(伊東氏)と語るプロジェクトのプロセスを「できるだけありのままに再現したい」(同)というコンセプトのもと、コンペ案から現在までの軌跡を模型や図面、ドキュメント映像、壁面モックアップを通してたどる。会期は12月20日まで。
伊東氏は、建築展の開催に当たって開かれたプレスカンファレンスで、「1年以上前に建築展の企画をいただいたとき、その場で、台中メトロポリタンオペラハウス(台中国家歌劇院)だけをテーマにした展示をしたいと決めた」と話した。
その理由を「いつできるのか、どういうものが最終的にできあがるのか、まったく予測がつかなかった。何も見えない雲海の中で試行錯誤・模索を繰り返しながら、皆で知恵を出し合い、毎日毎日、その場その場でできることを延々と続けた。共通の最終像を探りながら、1つひとつ手づくりでここまでやってきて、やっとあと1歩の地点までたどり着いた」と説明した。
「日本を始め、現代社会では、はっきりとしたスケジュール・予算の中で、変更なく建築をつくることが求められ、そこから外れることは悪であるという社会になっている。このプロジェクトはその真逆だ」という。
その上で、「ことしの夏にようやく外の足場がはずれて、一気に建物が姿を見せた。そのときの感動は、言葉に表しがたいものがあった。本当に手づくりで進めてきて、こんなことは2度とありえないだろうということを9年間続けてきた。そういう現代社会の中ではほとんどあり得ないものをつくり続けてきたという実感がある。そのプロセスをできるだけありのままに再現したいと考えた。それが今回の展覧会の最大の趣旨だ」と語る。
また、現在の都市や建築をめぐる状況を「世界の都市が立体格子つまりグリッドの建築によって覆われてしまっている。これほど非人間的なことはないと思っている。そういう建築をいかに経済的に、いかに早く、効率よく埋めていくかということが世界で問われている時代だ」と解説する。
それに対し、「人間の身体は自然の中から独立した個体をもっている。しかし、外に対して開いた鼻、耳、口などチューブ上の器官・開口部をもつことによって外・自然と結ばれている。この建築も基本は四角いハコだが、内部はいたるところ3次元の曲面からなり、床・壁・天井の区別も定かではなく、そして、外と切れ目なく連続している。それは身体感覚になぞらえることができる。建物そのものが(敷地である)公園のようなスペースだということもできる」と説明する。
さらに、「人間が力を合わせて手づくりで何かをつくりあげていくプロジェクト」でもあることも含めて、「私の中では、このプロジェクトと東日本大震災後の『みんなの家』の間で、齟齬(そご)がない」と強調した。
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伊東氏は、建築展の開催に当たって開かれたプレスカンファレンスで、「1年以上前に建築展の企画をいただいたとき、その場で、台中メトロポリタンオペラハウス(台中国家歌劇院)だけをテーマにした展示をしたいと決めた」と話した。
その理由を「いつできるのか、どういうものが最終的にできあがるのか、まったく予測がつかなかった。何も見えない雲海の中で試行錯誤・模索を繰り返しながら、皆で知恵を出し合い、毎日毎日、その場その場でできることを延々と続けた。共通の最終像を探りながら、1つひとつ手づくりでここまでやってきて、やっとあと1歩の地点までたどり着いた」と説明した。
「日本を始め、現代社会では、はっきりとしたスケジュール・予算の中で、変更なく建築をつくることが求められ、そこから外れることは悪であるという社会になっている。このプロジェクトはその真逆だ」という。
その上で、「ことしの夏にようやく外の足場がはずれて、一気に建物が姿を見せた。そのときの感動は、言葉に表しがたいものがあった。本当に手づくりで進めてきて、こんなことは2度とありえないだろうということを9年間続けてきた。そういう現代社会の中ではほとんどあり得ないものをつくり続けてきたという実感がある。そのプロセスをできるだけありのままに再現したいと考えた。それが今回の展覧会の最大の趣旨だ」と語る。
また、現在の都市や建築をめぐる状況を「世界の都市が立体格子つまりグリッドの建築によって覆われてしまっている。これほど非人間的なことはないと思っている。そういう建築をいかに経済的に、いかに早く、効率よく埋めていくかということが世界で問われている時代だ」と解説する。
それに対し、「人間の身体は自然の中から独立した個体をもっている。しかし、外に対して開いた鼻、耳、口などチューブ上の器官・開口部をもつことによって外・自然と結ばれている。この建築も基本は四角いハコだが、内部はいたるところ3次元の曲面からなり、床・壁・天井の区別も定かではなく、そして、外と切れ目なく連続している。それは身体感覚になぞらえることができる。建物そのものが(敷地である)公園のようなスペースだということもできる」と説明する。
さらに、「人間が力を合わせて手づくりで何かをつくりあげていくプロジェクト」でもあることも含めて、「私の中では、このプロジェクトと東日本大震災後の『みんなの家』の間で、齟齬(そご)がない」と強調した。
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