2014/11/22

【FRASH構法】異なる構造の梁を組み合わせ、柱のない大空間を実現

東京都八王子市中野町の工学院大学八王子キャンパスで『ふらっと/19号館』の建設がフジタの施工により進められている。機械工作実習や学生プロジェクト制作の場に活用される「ものづくり拠点」として位置付けられている施設で、実習作業がしやすい大空間を創出するために、同社の「FRASH構法」が採用されている。

 同構法は、RC造の柱に、S造の梁で両端にRCを巻いて補強したハイブリッド梁を組み合わせたもの。「両端部のRC部はプレキャストコンクリート造または現場打ちが可能など、施工性に優れている」(嶋雄一郎建築工事部建設工事作業所所長)ことが特徴。またS造よりも鉄骨の量と加工を少なくすることができ、総工費の削減にもつながる。実際、今回の現場で同構法の組み立てを行った際は「鉄骨の梁を現場に持ち込み、床に置いた状態で鉄筋工事を行った。そうすることで、足場を組んで鉄筋工事を行う作業がなくなり、安全面も確保できる」(同)と施工時のメリットを語る。
 柱とつなげる大梁のうち、スパンの長い梁にハイブリッド梁を、スパンの短い梁にRC造梁というように、異なる構造の梁を組み合わせた構造計画が可能。同社が物流施設や工場に採用している柱をRC造、梁をS造としたハイブリッド構造「FSRPC-B構法」との同一フロアでの混用も可能となっている。

S梁の両端を集中補強筋で巻く
通常、RC造の建物は柱のスパンを大きくとることができないため、実習空間向けの大スペースをつくることは困難であったが、FRASH構法を採用したことで、基本の構造をRC造としながら、14×32m、約450㎡の大空間を実現している。
 同施設の屋上には地形を生かした斜めの屋根スラブを使用。バスロータリーから総合教育棟、スチューデントセンターにつながるスロープ状の通路として活用される。FRASH構法では梁の両端をRCで巻くことで剛性を強化しているため、S造に比べて床の振動を低減する効果も見込んでいる。
 北側には、実習スペースを取り囲むようにCAD・CAM室や計測室などの部屋を配置。南側は採光に配慮し、ガラス張りとなっている。
 また基本設計から実施設計の段階でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用。現在は施工段階で3次元モデルを活用した施工図、総合図の作成に取り組んでいるという。
 同施設の規模は、RC一部S造地下1階建て1159㎡。2015年2月下旬に竣工し、同4月からの授業で使用される。
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