2015/06/08

【新国立競技場】「客席のみを覆う屋根に」 槇グループが代案を提言

建築家の槇文彦氏=写真右=、大野秀敏氏らを中心に構成する槇グループは5日、東京都渋谷区の槇総合計画事務所で新国立競技場の屋根形式を現行のキール・アーチ構造から客席のみを覆う屋根に変更するよう求める提言を発表した。天蓋、屋根開閉装置、芝生育成の装置、閉鎖開口部などが不要となり、建設費を現予算内にまで引き下げるとともに将来の維持費も大幅に削減できるとしている。

 会見で槇氏は「われわれは対決しようとしているのではない」としながらも「これだけの批判と疑問があるプロジェクトはない。1つの案だけでなく、それが駄目だったときの選択肢も考えておかなくてはいけない」と代案の重要性を強調。「発注者や技術者の社会的責任とは当選案をどう実現するかだけではない。市民の要求に応え市民が安心できるものつくることだ」と語った。
 また大野氏は「膜の天蓋は東京五輪後に取り付けるという話もあるが、そのための構造や機能は最初から確保するためコスト高や工期の問題は解決していない」と指摘、「着工してから戻ることはできない。未解決の問題がある中でいまが最後のチャンスとして考え、新たな形態を示した」と述べた。
 代案では、観客席のみを覆う屋根方式を採用し、客席を常設6万席と仮設2万席で構成することで、42カ月程度の工期と1625億円の予算で建設可能と試算している。
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