2015/10/01

【九州地整】土木遺産を“生かす” 筑後川デ・レイケ導流堤橋脚工事


 筑後川の土木歴史遺産デ・レイケ導流堤の一部に橋脚を設置する筑後川橋工事が国土交通省九州地方整備局で進められている。筑後川橋は機能維持やデザインなど導流堤に配慮した設計で、橋脚の着工に向け現在は、謎が多い導流堤の内部構造を調査・記録している。土木歴史遺産に配慮し、“生かす”公共事業が展開されている。

 デ・レイケ導流堤は、筑後川下流域でがた土の堆積を防止し、航路の確保を目的に築造された石堤で、長さ6.5㎞は同時期築造の導流堤の中で最も長い。高さ5m、幅11.5mの規模で、内部構造は粗朶(そだ)沈床に、土混じり石が乗っていると考えられ、それを張石が覆い、両脇に捨て石が添えられている。
 内務省技術顧問のオランダ人技師ヨハネス・デ・レイケの指導により明治20(1887)年に着工、明治23(90)年に完成した。100年以上経過した現在も機能を発揮し、土木学会の2008年度選奨土木遺産に選定されている。
 事業は、この導流堤の一部を解体撤去し、有明海沿岸道路・筑後川橋(長さ450m、鋼4径間連続中路アーチ橋)のP6橋脚を設置する。設計は、橋脚の幅を張石の幅より小さくすることや、導流堤とのメリハリをつけるコンクリート打放し仕上げ、高さを低くし台形断面化するなどとし、導流堤の機能や形に配慮している。

導流堤の内部調査

 橋脚工事は村本建設の施工で、ことし2月に着工した。工事は導流堤の調査と解体から始め、鋼矢板による仮締切を実施し、9月14日に調査開始した。調査は張石と裏込めのかみ合わせの状況、内部構造の形状、内部の地質構成などが対象だ。
 導流堤の建設当初の調査報告書や設計図書は見つかっていない。解体記録も今回が初めてとなる。実際、この間の調査で、粗朶沈床工法の採用が初めて証明され、推定よりも浅い部分に粗朶が存在することが分かった。また、張石を支える胴木の発見もあり、学識者を驚かせている。有明海沿岸部の軟弱地盤にあって100年以上も沈下しないなど解明されていない謎もあり、今後の調査結果が注目されている。
 調査は10月半ばまで実施し、11月にも橋脚の基礎工事に着手する。工事の完成は16年12月を予定している。
 整備を担当する九州地方整備局福岡国道事務所計画課の森賢二課長は「地域の人の思い入れが強い施設。今後の工事でも配慮して進めたい」と話す。また、解体後の張石は、近くの公園などに復元展示することとしており「今まで遠目でしか見られなかった施設が陸に上がり、身近になる。土木遺産を肌で感じてほしい」としている。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【現場最前線】狭隘現場をで「U桁リフティング架設工法」で克服! 新東名厚木第二高架橋他PC上部工  新東名高速道路の起点(海老名南ジャンクション)から最初のインターチェンジ(IC)となる厚木南ICの工事が着々と進んでいる。三井住友建設・日本ピーエスJVが施工する「厚木第二高架橋他8橋(PC上部工)工事」(神奈川県厚木市戸田~下津古久)では、工場製作したU桁の一括架設など狭あいな現場というハンディキャップを最新技術で克服している。  工事は、新東名厚木南ICの本線部(第二、第三)高架橋と、ランプ部(A、B、C1、C2、D、G-201、G… Read More
  • 【土木学会】市民普請大賞グランプリは「別所砂留を守る会」 住民主体の活動を評価  土木学会(田代民治会長)は23日、東京都新宿区の土木会館で土木の日関連行事のシンポジウムを開いた。「市民普請大賞2016」の1次選考を通過した6団体などの活動発表と講評が行われ、最終審査の結果、グランプリに別所砂留を守る会(広島県)の「別所砂留の整備保存および啓蒙活動」が選ばれた。地域住民が中心となった整備保存や見学会の開催、砂留を活用した地域活性化への取り組みなどが高く評価された。  各受賞者への表彰状贈呈後、田代会長は「皆さんの活動… Read More
  • 【土木学会】あなたは橋派?鉄道派? 土木コレクション@新宿駅西口広場、11/24まで  土木学会(田代民治会長)は21日から24日までの4日間、東京都新宿区の新宿駅西口広場イベントコーナーで、「土木コレクション2016 あなたは橋派?鉄道派?」を開いている。初日となる21日のオープニングセレモニーでは、田代会長、西倉鉄也東京都建設局長、土木広報戦略会議土木の日実行担当の五道仁実国土交通省官房技術審議官がテープカットを行った。  田代会長は「明治以降、日本をつくってきた土木技術者の思いを感じ取ってくれたらうれしい。このイベン… Read More
  • 【東京地下鉄】「東西線と東葉高速鉄道線との相互直通運転20周年展」開催中!@地下鉄博物館、1/15まで  東京都江戸川区の東京メトロ東西線葛西駅高架下にあるメトロ文化財団地下鉄博物館で、東京地下鉄の特別展「東西線と東葉高速鉄道線との相互直通運転20周年展」が開会した。  営団地下鉄東西線(現東京メトロ東西線)と東葉高速鉄道線が1996年4月に相互直通運転を開始して20年を迎えたことを記念し、東葉高速鉄道が建設に至った経緯を始め、当時の建設状況、その後の輸送人員、沿線開発などを、詳細な歴史年表や写真、パネル、貴重な工事パンフレットによって分か… Read More
  • 【東京外環】北行大泉南に投入の大型シールド機、出現! 回転試験など公開  国土交通省と東日本・中日本の両高速道路会社は18日、三菱重工業神戸造船所(神戸市兵庫区)で製作中の大型シールド機を公開した。東京外かく環状道路(関越~東名)本線トンネルの大深度地下を掘り進むシールド機で、直径は16.1mと国内最大規模を誇る。  シールド機は機長約15.2m、重量は約4000t。カッターヘッドには1155本のビットを設置している。既に組み上がった状態で、この日はカッターの回転試験やエレクターの旋回動作確認などが行われた。… Read More

0 コメント :

コメントを投稿