2015/10/04

【JFEエンジ】「RAPID工法」採用工事、8年ぶり13件目! 優位性ある工法に必要な条件とは?


 JFEエンジニアリングが障害物の下に鋼管を弧状推進させる「RAPID工法」を8年ぶりに施工する。福島県新地町の相馬港に建設中の相馬LNG(液化天然ガス)基地と、新潟~仙台間ガスパイプラインをつなぐ長さ33㎞のパイプライン敷設工事を石油資源開発から受注した同社は、ルート上にある阿武隈川の横断区間に同工法の採用を決めた。電力・資源事業部建設部パイプライン建設室施工グループマネージャーの宮内光氏は「一般的な推進工法に比べ、工期を半減できるRAPID工法だが、採用にはいくつかの条件がある」と明かす。

 施工延長33㎞のうち、河川や道路などの下をくぐる区間は約30カ所に達する。場所の特性に応じ、施工方法を使い分けるが、推進工法やシールド工法は立坑を構築するため、その分だけ工期が増えてしまう。RAPID工法は地上から直接掘進でき、管内作業も発生しないため、作業安全性も高い。他の工法に比べて優位性があるものの、国内では採用できる場所が限定されるのが実情だ。


 RAPID工法の作業工程は大きく3つ。パイロット管先端のドリルヘッドが泥水のジェット噴射で掘進し、円弧を描くように河川などの下をくぐり、対岸の地上まで到達する。その後にパイロット管を軸にリーマーと呼ばれる回転掘削で掘削断面を大きくし、最後にパイロット管を使って本管を引き込む。石油掘削の技術を応用したものだ。米国など海外のパイプライン工事では「HDD工法」と呼ばれ、一般化している。
 この技術を同社が導入したのは1995年2月。パイプライン工事の施工メニューを拡充することが狙いだった。翌96年には施工長さ530mの河川下をくぐる管径762mmの施工区間に初適用し、これまでに国内では12件の実績を持つ。高圧ガスパイプラインの敷設シェアで50%強を誇る同社だが、工期面の優位性を発揮できるRAPIDの採用チャンスは近年訪れなかった。
 「実は、最低でも掘削距離の半分ほどの作業ヤードが必要になってくる。この条件をクリアできれば、採用率はもっと上がる」と、宮内氏は説明する。海外の普及率が高いのも、ヤード確保が比較的容易なためだ。採用を決めた阿武隈川は川幅500mに達し、この下をくぐるRAPIDの施工長さは650mにおよぶ。本管は径500mm、それを覆う鞘管は径650mm。現場では地上で構築した管を引き込むため、施工場所の先に一定程度の作業ヤードを確保する必要がある。

現地の作業ヤードで管をつなぐ

 阿武隈川では11月から施工準備に取りかかり、2016年4月までには敷設を完了する予定だ。実質工期はわずか3カ月。立坑構築が必要な推進工法を採用した場合には1年間を要する。「土地に余裕がある海外工事では施工長さと同じだけ、長管ヤードを確保するが、日本では半分のスペースでも施工できるように工夫している。RAPIDはヤード確保がウイークポイントだが、ここを改善できれば受注の感度はさらに高まる」(宮内氏)。
 8年ぶりの採用だが、この先には既に別の工事に採用が決まっている。北海道ガスの石狩LNG基地から、その対岸に建設される火力発電所まで天然ガスを供給するために計画されているパイプライン敷設工事では、中央航路を横断する長さ1300mにPAPID工法を採用することが決まった。国内では苫小牧西港での施工区間1200mを抜き、施工長さの最長記録を更新する。同社エネルギー本部管理部の小池秀樹副部長は「強みのパイプライン工事では、RAPIDが有効な武器になっている」と強調する。
 とはいえ、作業ヤードの確保がネックとなり、採用に結びつかないケースは多い。施工実績の中には光ケーブルや電力ケーブルの敷設管に採用したケースもあり、パイプライン工事以外の採用にも期待を持っている。「ケーブルのように細くて長いものを通す工事では、RAPIDの優位性を最大限に発揮できる。海岸沿いの浅瀬に敷設する場合など、工事条件によっては他を寄せ付けないはずだ」(同)
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