東京エレベーター(本社・東京都中央区、馬英華社長)は、バブル期に多く設置された油圧式エレベーターのリニューアルに乗り出した。油圧式は部品の供給停止などにより、ロープ式エレベーターへの置き換えに迫られるケースが増加。費用の捻出が厳しいビル管理者も多い中、同社ではコストや工期を抑えてリニューアルし、投資を抑えたい顧客のニーズに応える。馬社長は「更新やビル建て替えのタイミングまで既存のエレベーターを生かしたいニーズもある」と需要を見込む。専門部署も設けて事業に注力し、同社の1つの武器としていく考えだ。
油圧式エレベーターは、中低層のビルを中心に設置され、同社によると約8万4000台存在している。機械室を建物内で比較的自由に配置でき、建物の上部に機械室が置けないケースにも対応できる点や、かご室のスペースの確保が比較的容易な点から普及が進んだ。一方で、ジャッキ駆動のためモーター駆動のロープ式より動きが遅く、電気代がかかるといったデメリットもあり、2000年以降は新設件数が激減している。
同社は、メーカー各社が油圧式の保守部品の供給を停止し、ロープ式への切り替えを推進している点に着目した。この場合、費用が1500-2000万円ほどかかると見込まれるほか、定員の減少や工期の長さなどから更新を敬遠するビルオーナーも多いのが実情という。そのため、リニューアル自体をあきらめて設備がさらに老朽化し、防災面や安全面に支障をきたすおそれも高まる。そこで、既存のエレベーターの安全性や快適性を向上させ、インバーター制御で消費電力も抑える改修を注力することにした。
このリニューアルでは、機械室にあるポンプやモーター、制御盤、ロープなどを新規部品に入れ替える。同社がこれまで手掛けてきた点検・保守で培ったノウハウで、メーカーの規格に合わせた部品を調達できる独自ルートもあり、幅広い機種に迅速な対応が可能だ。メーカーが手掛ける作業よりコストダウンも実現できているという。費用は600-1000万円程度と、ロープ式への更新と比べた場合でも半額ほどに抑えられる。また工期も7-10日で完了し、ビルの稼働への影響を最小限に抑えている。
馬社長は油圧式のリニューアルの需要について「バブル期に建設された7、8階建ての中低層のビルは油圧式が多く、一昨年ごろから改修ニーズの増加が顕著」と分析する。「2020年の東京五輪を控え、資産価値の向上をにらむ需要もある」と、テナントへの利便性や安全性を維持するためにも、リニューアルの必要性は高い。
一方で、オーナーの改修への準備は進んでいないともみている。「油圧式からロープ式への改修は、ロープ式からロープ式への改修より3倍高い。オーナーはそれだけの投資に積極的でない。また、メンテナンスは設置したメーカーでしかできないと思い、コストがさらに抑えられると考えないオーナーもいる」(馬社長)。低コストで最新機器に再生させる同社の技術が、そうしたオーナーのニーズに応えられると見込む。
リニューアルにあわせ、専門の部署も新設した。施工部隊と営業部隊の人材を拡充し、受注体制の拡大を狙う。オフィスビルやマンションなどを中心に、首都圏、大阪、名古屋などの都市部で年間100台の受注を目指す。
さらに、リニューアルを武器にした今後の展開も見据える。これまでもエレベーターの点検保守業務で独自の調達やベテラン技術者の対応などで競争優位性を保ってきたという自負もあり、ロープ式のリニューアルでもノウハウを持つ。油圧式のリニューアルも事業のひとつの選択肢としてPRしつつ、ロープ式や点検業務の顧客獲得も見据えている。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
油圧式エレベーターは、中低層のビルを中心に設置され、同社によると約8万4000台存在している。機械室を建物内で比較的自由に配置でき、建物の上部に機械室が置けないケースにも対応できる点や、かご室のスペースの確保が比較的容易な点から普及が進んだ。一方で、ジャッキ駆動のためモーター駆動のロープ式より動きが遅く、電気代がかかるといったデメリットもあり、2000年以降は新設件数が激減している。
改修前の油圧ポンプ、モーター |
改修後の油圧ポンプ、モーター |
馬社長は油圧式のリニューアルの需要について「バブル期に建設された7、8階建ての中低層のビルは油圧式が多く、一昨年ごろから改修ニーズの増加が顕著」と分析する。「2020年の東京五輪を控え、資産価値の向上をにらむ需要もある」と、テナントへの利便性や安全性を維持するためにも、リニューアルの必要性は高い。
一方で、オーナーの改修への準備は進んでいないともみている。「油圧式からロープ式への改修は、ロープ式からロープ式への改修より3倍高い。オーナーはそれだけの投資に積極的でない。また、メンテナンスは設置したメーカーでしかできないと思い、コストがさらに抑えられると考えないオーナーもいる」(馬社長)。低コストで最新機器に再生させる同社の技術が、そうしたオーナーのニーズに応えられると見込む。
リニューアルにあわせ、専門の部署も新設した。施工部隊と営業部隊の人材を拡充し、受注体制の拡大を狙う。オフィスビルやマンションなどを中心に、首都圏、大阪、名古屋などの都市部で年間100台の受注を目指す。
さらに、リニューアルを武器にした今後の展開も見据える。これまでもエレベーターの点検保守業務で独自の調達やベテラン技術者の対応などで競争優位性を保ってきたという自負もあり、ロープ式のリニューアルでもノウハウを持つ。油圧式のリニューアルも事業のひとつの選択肢としてPRしつつ、ロープ式や点検業務の顧客獲得も見据えている。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
0 コメント :
コメントを投稿