2015/04/27

【環境学習】小学生が絶滅危惧種のアサザ植え戻し 九州農政局のクリーク改修現場

九州農政局が福岡県柳川市で進めているクリーク改修工事の現場で22日、絶滅危惧種のアサザを植え戻す移植作業が行われた。作業には近隣の柳川市立垂見小学校4年生15人が環境学習の一環として参加し、楽しみながら環境を守ることの大切さを学んだ。

 アサザは、ミツガシワ科の多年草で池や沼に群生する浮葉植物。6月から9月にかけ黄色い花を咲かせる。水質の悪化や外来種の影響などで減少し、福岡県で生育が確認されているのは柳川、筑後、嘉麻の3市のみ。県からごく近い将来絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧IA類に指定されている。
 その数少ないアサザの自生地域で進められているのが筑後川下流左岸農地防災事業岩神線他(垂見工区)工事で、施工は大豊建設が担当している。昨年11月、工事の本格化に備え水抜きする直前にアサザを安全な場所に移していた。工事がほぼ終了したことから、通水する前に自生地域に植え戻すことになった。
 この日は、九州農政局筑後川下流左岸農地防災事業所のほか、福岡県南地筑後保健福祉環境事務所、柳川市などの関係者が参加、大豊建設の協力で作業が進められた。
 現場を訪れた子どもたちは、クリークの役割や工事の目的、環境に配慮しながら進められる工事の様子、アサザの特徴やアサザを守る活動などの説明を受けた後、現場に入り移植作業に取り組んだ。希少な植物とあってアサザを手にした子どもたちは真剣な表情で、一つひとつ丁寧に植えていった。作業を終え、「花が咲くのが楽しみ。夏休みにまた来たい」と笑顔で話していた。
 同工事はブロックマットによるクリーク法面の保護工事で施工延長は884m。植生工などで環境に配慮した工事を進めている。アサザは水深1mくらいまでの流れの緩やかな浅瀬に生育するため、根づきがよくなるよう自生地域では約100mにわたって幅約1.5mの階段状の多自然型護岸工を整備した。工期は5月25日まで。
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