2015/04/01

【建築】地元特産材生かし、そこにある「必然」の住宅目指す 稗田綜合建築設計事務所

稗田綜合建築設計事務所(千葉県東金市)の稗田忠弘代表は、地元の特産品「サンブスギ」に着目し、外材に市場を奪われたことで荒れ放題になっていた山を再生しながら山武地域らしい建築に取り組む建築士のグループ『さんむフォレスト』を1998年に設立。「形状や色よりも、そこにあることが必然的な建物をつくりたい」との思いのもと、サンブスギを生かした設計に取り組んでいる。写真は篠原久雄邸。

 2014年度の千葉県建築文化賞で入賞した篠原久雄邸もその一つ。建設地は、東関東自動車道・酒々井インターチェンジ近くで整備が進められた土地区画整理事業地内。
 土台を除き、構造材から仕上げ材までサンブスギを使用し、構造も金物を極力使わないようにした。夏は吹き抜けや越屋根、天窓の重力換気により快適に過ごすことができ、冬はまきストーブをたけば家中が暖まる。厚さ40mmある杉板の床が蓄熱するため、はだしで過ごすことができる。完成から数年たったが、「エアコンを設置せずに快適に過ごしていただいている」という。
 さらに木から柱や梁を取り出した後の残材も「最後まで使う」ため、ストーブの燃料に有効活用してもらっている。
 また稗田氏は若い人でも買えるよう1000万円で建てられる木造住宅を地元の有志とともに開発しており、今後、普及させたい考えだ。
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