建材メーカーの大建工業が耐震天井工法の販売に乗り出した。「実は社として天井金具製品を扱うのは初めて」と吉田和雅執行役員エコ事業統轄部副統轄部長が説明するように、もともと同社は石膏ボードを捨て張りする在来工法向けに吸音性能に優れた軽量のロックウール吸音板『ダイロートン』を販売していた。東日本大震災の天井落下被害を機に耐震天井のニーズが高まる中、軽さに強みを持つダイロートンを天井仕上げとして直張りする独自工法を普及させることで、販路拡大に動き出した。
吊り天井の脱落防止に向けた耐震性向上の対策が急務になっている。部材同士をつなぐ補強金物の緊結に加え、吊り材やブレース材の剛性を高める対応が必要になり、耐震化を行わない場合に比べて施工作業は3、4割増えると言われている。首都圏では職人不足が深刻化し、施工現場にとっては省力化を実現する耐震天井工法が求められている。
同社の耐震天井工法『ダイケンハイブリッド天井』は、強固にかみ合うようにバー材を格子状に組み、そこにダイロートンを直張りする。構造はシステム天井と同じ。格子によって天井下地の剛性は高まり、しかも補強金物による緊結をせずに耐震性を確保できる。施工の手間は在来工法を耐震化する場合に比べ、大幅に削減できる。
2014年4月に天井崩落防止の告示が施行され、高さ6m以上で面積が200㎡を超える新設の建物は「特定天井」として耐震化の基準が明確に定められた。接合金物の部分にはねじ止めなどの緊結対応が求められ、在来工法に比べて天井の取り付け作業量は大幅に増す。吉田執行役員は「職人の労務単価が上昇しているだけに、省力化施工の工法優位性がより発揮できる」と手応えを口にする。
高さ6m以上を規定した特定天井の対象は体育館やホールなどが中心になるが、基準対象外の建物用途でも耐震化の要求が広がりつつある。文部科学省は独自ルールを設け、高さに関係なく面積が200㎡を超えた場合を適用の範囲に位置付けたほか、民間建築ではBCP(事業継続計画)の一環から医療施設や商業施設でも耐震天井を求めるケースが増えている。
同社は50年にわたり、製鉄の副産物であるスラグを繊維化したスラグウールを板状に加工したロックウール吸音板を販売してきた。在来工法では天井下地に化粧石膏ボードを直張りする方法もあり、石膏ボードを捨て張りした上にロックウールを化粧張りする方法は選択肢の1つに過ぎなかった。市場開発部エコ課の前田幸男専門リーダーは「ダイロートンの直張りによって、天井の重さ自体を半分以下に抑えることができ、軽さを求める設計者からの要求を満足できる」と強調する。
在来工法は1㎡当たりの重量が約6㎏に達するが、ロックウールの直張り工法では約4.5㎞に抑えられる。ただ、石膏ボードを捨て張りした場合、天井下地のバーに関係なく、仕上げ材を自由に取り付けられる意匠面の効果は大きい。同社はその課題を解消するため、5種類の直張り専用ダイロートンを製品化し、さらなるラインアップの拡充も検討している。捨て張り工法用の製品は既に十数種類に達し、天井仕上げのあらゆる要求に対応できる体制を整えている。16年度には、年間60万㎡の販売を見込む。
耐震天井工法は、あくまでもダイロートンとのセットで営業提案する。既にいくつかの引き合いが来ている状況だ。上階の躯体から吊されたメーンバーとの細かな位置決めなど、現段階では在来工法とは異なる納まりの微調整が欠かせない。前田氏は「リニューアル案件にも対応できるようにデータをそろえたい」と考えている。
同社は、設計事務所への営業提案に動き出した。工法とのセット売りを前提としているため、グループの内装工事会社などを中心に、現場作業員への理解度を高める活動もスタートする。吉田執行役員は「着実に営業の裾野を広げながら、ロックウールの直張り効果を広く知らしめたい」と呼びかける。
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吊り天井の脱落防止に向けた耐震性向上の対策が急務になっている。部材同士をつなぐ補強金物の緊結に加え、吊り材やブレース材の剛性を高める対応が必要になり、耐震化を行わない場合に比べて施工作業は3、4割増えると言われている。首都圏では職人不足が深刻化し、施工現場にとっては省力化を実現する耐震天井工法が求められている。
同社の耐震天井工法『ダイケンハイブリッド天井』は、強固にかみ合うようにバー材を格子状に組み、そこにダイロートンを直張りする。構造はシステム天井と同じ。格子によって天井下地の剛性は高まり、しかも補強金物による緊結をせずに耐震性を確保できる。施工の手間は在来工法を耐震化する場合に比べ、大幅に削減できる。
2014年4月に天井崩落防止の告示が施行され、高さ6m以上で面積が200㎡を超える新設の建物は「特定天井」として耐震化の基準が明確に定められた。接合金物の部分にはねじ止めなどの緊結対応が求められ、在来工法に比べて天井の取り付け作業量は大幅に増す。吉田執行役員は「職人の労務単価が上昇しているだけに、省力化施工の工法優位性がより発揮できる」と手応えを口にする。
高さ6m以上を規定した特定天井の対象は体育館やホールなどが中心になるが、基準対象外の建物用途でも耐震化の要求が広がりつつある。文部科学省は独自ルールを設け、高さに関係なく面積が200㎡を超えた場合を適用の範囲に位置付けたほか、民間建築ではBCP(事業継続計画)の一環から医療施設や商業施設でも耐震天井を求めるケースが増えている。
同社は50年にわたり、製鉄の副産物であるスラグを繊維化したスラグウールを板状に加工したロックウール吸音板を販売してきた。在来工法では天井下地に化粧石膏ボードを直張りする方法もあり、石膏ボードを捨て張りした上にロックウールを化粧張りする方法は選択肢の1つに過ぎなかった。市場開発部エコ課の前田幸男専門リーダーは「ダイロートンの直張りによって、天井の重さ自体を半分以下に抑えることができ、軽さを求める設計者からの要求を満足できる」と強調する。
在来工法は1㎡当たりの重量が約6㎏に達するが、ロックウールの直張り工法では約4.5㎞に抑えられる。ただ、石膏ボードを捨て張りした場合、天井下地のバーに関係なく、仕上げ材を自由に取り付けられる意匠面の効果は大きい。同社はその課題を解消するため、5種類の直張り専用ダイロートンを製品化し、さらなるラインアップの拡充も検討している。捨て張り工法用の製品は既に十数種類に達し、天井仕上げのあらゆる要求に対応できる体制を整えている。16年度には、年間60万㎡の販売を見込む。
耐震天井工法は、あくまでもダイロートンとのセットで営業提案する。既にいくつかの引き合いが来ている状況だ。上階の躯体から吊されたメーンバーとの細かな位置決めなど、現段階では在来工法とは異なる納まりの微調整が欠かせない。前田氏は「リニューアル案件にも対応できるようにデータをそろえたい」と考えている。
同社は、設計事務所への営業提案に動き出した。工法とのセット売りを前提としているため、グループの内装工事会社などを中心に、現場作業員への理解度を高める活動もスタートする。吉田執行役員は「着実に営業の裾野を広げながら、ロックウールの直張り効果を広く知らしめたい」と呼びかける。
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