より強く、より快適に--。阪神高速道路会社は15日、5号湾岸線フレッシュアップ工事の現場を報道関係者向けに公開した。道路構造物の点検には、同社グループが開発した点検ロボットを終日通行止め工事では初めて導入した。
南港ジャンクション(JCT)から北港JCTまでの上下線5.3㎞を対象に13日から24日までの11日間、終日通行止めで作業を進めている。工事費は20億円で、舗装の打ち替えは8万7000㎡に上る。期間中の作業人員は延べ1万人、作業車両も同7000台が投じられる大規模な修繕工事だ。
補修対象の面積は8万7000㎡にも上る |
5号湾岸線は1991年の供用開始から24年が経過、経年劣化が激しいことから今回初めてフレッシュアップ工事を実施する。同社の鈴木浩一保全管理総括担当課長によると「舗装や伸縮継手の補修などを休日に車線規制で行った場合、規制日数で134日、規制期間は2年半以上にもなると見られる」ことから、終日通行止めによる補修を行うことにした。
鋼床版の点検には、同社と阪神高速技術、日本電測機の3社が共同開発した検査装置「みつけるくんK」を導入した。同装置は渦流探傷技術を用い舗装の凹凸を感知、目視による点検では発見しにくかった舗装内部の亀裂も検知することができる。亀裂が発生している個所には舗装の下半分をSFRC(繊維補強コンクリート)舗装に打ち替え、耐久性の向上を図っている。
ケーブル点検ロボット |
天保山大橋のケーブル点検にも、被覆材の損傷を検出する「ケーブル点検ロボット」を採用している。北海道立総合研究機構と帝国設計事務所、内外構造との共同研究により、阪神高速技術が設計・製作したロボットで、今回のフレッシュアップ工事から運用を開始した。ケーブルの外周を囲うように高性能カメラ6台が設置され、ケーブルに沿って毎秒30cmの速度で上昇。画像の輝度差により表面の亀裂やグラウト孔埋材の浮き、すり傷などを自動検出するシステムを登載している。「これまで双眼鏡で点検していた高所部のケーブルも、近接目視に近い形で点検できるようになった」(川村勝阪神高速技術技術部部長)という。
同社では今後も、点検ロボットを活用していく方針だ。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
0 コメント :
コメントを投稿