2015/10/16

【記者座談会】第3次安倍改造内閣 旧建設省出身の石井啓一国交大臣の手腕は?


A 第3次安倍改造内閣が7日発足した。国土交通相に就任した石井啓一氏はもともと、旧建設省のキャリア官僚ということだけど。

B 東大工学部卒で、道路局の課長補佐だった1992年に退職。翌93年の衆院選に公明党から出馬して初当選し、以来当選を重ねて現在8期目となる。22年9カ月ぶりに、かつての職場に戻ってきたということで、職員を代表してあいさつした徳山日出男事務次官も「お帰りなさいと申し上げられることを大変うれしく思う」と感慨深げだった。現役幹部の中に旧知の仲の人も少なくないようだ。
C 就任会見でもこの点に関する質問が出たが、石井大臣本人は旧運輸省や国土庁などが一緒になったいまの国交省という組織の大きさに触れ、新人のつもりで臨むと気を引き締めていた。質問に対する受け答えも明快で、事務方の用意したペーパーをただ読み上げるようなこともしない。「スマート」というのがまず受けた第一印象かな。
A 建設業界の反応は。
D 人気の高かった太田昭宏大臣が替わるというニュースが流れた時は、動揺する声も聞かれたけれど、旧建設省出身の大臣ということもあって安堵感が漂っている。引き続き公明党なので、“太田路線”からの方針転換はなさそうという点も大きい。
C 石井新大臣も太田路線を継承する意向を示している。財務副大臣や党政務調査会長などの経験をもとに、今後どう“石井カラー”を出していくのかが注目される。
A 復興相に就いた高木毅氏はどうかな。被災地出身ではないという指摘も一部にあるようだが。
B 竹下亘前大臣も被災地出身ではなかったし、高木新大臣自身も「強い思いで復興に取り組む」と話すように、被災地の出身かどうかは関係ない。国土交通副大臣のときから、復興加速化に欠かせない建設業の担い手確保などにも注力してきた。とにかく熱い人という印象だ。
A 今回の内閣改造の目玉と言われる1億総活躍社会実現の重責を担う加藤勝信1億総活躍担当相は、女性活躍、再チャレンジ、拉致問題、国土強靱化の各担当相も兼ねる。役職が多すぎてかわいそうなくらいだ。
D 就任会見でも、そもそも1億総活躍社会とはなんぞやという質問が数多く飛んだ。「国民全員がそれぞれの立場で輝く社会を」と答えていたけれど、各府省が進めているさまざまな施策の進捗管理にとどまることなく、関係府省庁を横断的にまとめ上げる統括力に期待したい。
E 環境相兼原子力防災担当相には丸川珠代氏が就いた。建設産業界が大きな役割を果たす福島の復興・再生の前提となる除染や中間貯蔵施設整備などを担うことから、事業を加速化する方針を就任会見などで示した。厚生労働政務官を務めるなど厚生労働行政には明るいが、環境行政については未知数といえる。
D 内閣の重要テーマの1つは引き続き、東日本大震災や原発事故の被災地復興だ。ただ、除染で出た福島県内の汚染土を30年間保管する中間貯蔵施設の用地取得は進んでいない。用地交渉の加速化に向けて、いかにリーダーシップを発揮できるかが問われるだろう。
E 宮城、栃木など5県に整備予定の指定廃棄物長期保管施設建設も地元住民らが強く反発し、難航している。いまだ建設の前提となる現地調査が進まず、行き詰まり状態だ。既に宮城県の村井嘉浩知事が県内の3候補地で詳細調査に着手できず越年した場合は、候補地を白紙にする可能性にも言及している。事態打開の糸口を見いだすことができるのか注目したいね。経済を最優先に、「1億総活躍社会」実現を新たな課題に掲げて7日発足した第3次安倍改造内閣。来夏の参院選をにらみ主要閣僚を中心に9人を留任させ政権の骨格を維持。10人の閣僚が交代した
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿