2014年に1300万人を超えた訪日観光客は、12年からほぼ倍増している。政府の観光政策に加え、20年の東京五輪も控え、毎年の伸びが期待される。呼応するように、都市部のホテル数が足りない状況を生み、新規のホテル建設も見込まれる。こうした流れを受けて新製品が相次いでいるのがホテルキーだ。写真は日本カバ社が投入したスマートホテルキー。
スイスに本社を持つ日本カバ社(本社・横浜市緑区、指原洋一社長)は、ヒルトンやマリオットなどの国際ホテルに採用実績があるスマートホテルキーを、日本市場に投入した。
カバ社がクラウド上で、ホテルごとにスマートフォン専用のロックページを提供し、宿泊客はインターネット上からダイレクトに宿泊する部屋のかぎをスマホにダウンロードできる。クラウドと錠との通信は、複数回暗号化されているため、高度なセキュリティーを担保する。
カバ本社のアンドレアス・ハベリCTOは「モバイルキーの採用で、ホテルと顧客がダイレクトにつながり、代理店に支払うマージンを削減できる。また宿泊中も顧客にダイレクトにプロモーション情報を送信できる」と話す。
ほかにも動きがある。エスキュービズム・テクノロジー(本社・東京都港区、武下真典社長)は、スマホで解錠ができるスマートホテルキーを開発した。
エスキュービズム社のラッチロック式キー |
スマホ向けに専用アプリを開発、ブルートゥース規格の無線でホテルのキーが解錠できる。アプリは、同社が得意とする飲食店予約システムなどと連携しており、観光客向けにレストランやタクシーの予約もできる。
錠は、デッドロックとサムターンではなく、ラッチ部分をロックするため、大がかりな交換工事がいらないのも特徴だ。
日本の旅館業法では「対面式受付」が義務付けられ、宿泊客がフロントを通さずに入室することが認められていないが、海外ではネット上で予約、かぎの受け取り、宿泊が可能だ。
ホテルキー業界では、これらのようにスマホやネットとの連携で、顧客の囲い込みまで含めたホテルキーが開発されている。さらにIoT(モノのインターネット)として、さまざまものがネットに接続され始めている。今後、インバウンドと呼ばれる訪日観光客を多く迎えるために、ホテルキーにも多様なサービスが登場しそうだ。
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