2016/03/12

【現場最前線】五輪施設の最寄り路線を耐震補強! JR総武線で進む切取区間工事


 東日本旅客鉄道(JR東日本)が首都直下地震対策の一環として進めている、JR総武線飯田橋~千駄ヶ谷間の切取区間での耐震補強工事が本格化した。約2700本の棒状補強アンカーを固定して耐震性を向上させる。施工の東鉄工業では、昨年5月から信濃町~千駄ヶ谷間、同年末からは四ツ谷駅付近の工事に着手しており、今後、2016年度末までに棒状補強アンカー約1300本、うち信濃町~千駄ヶ谷間の約420本は15年度内の完成を見込む。

 切取区間は、先行した盛土区間と違い、線路に近接した急斜面での施工となり、深夜終電後から早朝始発までの短い時間での作業となる。
 信濃町駅付近では、既設の石積壁やコンクリート壁に、直径19-25mm、長さ3-3.5mの棒状補強アンカーを挿入する。径90mmのケーシングドリルで削孔し、アンカー挿入後、削孔穴内にグラウトを充填。次に受圧版や台座コンクリートを石積壁やコンクリート壁に設置し、アンカーに座金を取り付けナットで固定する。四ツ谷駅付近では棒状補強アンカーの長さが11mと長い個所もあり、品質管理や工程管理に留意している。
 飯田橋~千駄ヶ谷間の盛土・切取耐震補強を担当する東鉄工業の大川孝哉工事長は、「オリンピック関連施設が多い信濃町エリアは、内外から注目される現場。すべてが深夜の短時間作業だが、列車安全と品質を最優先に確実に進めている」と語る。夏目明宏監理技術者は「施工場所が点在し施工管理が難しい。列車の安全運行を最優先し無事故で完遂させたい」と意気込み、安田健二工事管理者も「エリアが広く協力会社との連携が重要」と気を引き締める。
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