国土交通省は、各企業が持つ技術など「知的財産を活用した海外展開」のためのハンドブックをまとめた。知的財産となる権利化された技術の「保護」と「活用」によって、中堅・中小企業の海外展開を支援することが狙い。知的財産の保護に関する注意事項やビジネスモデルの考え方を、企業の取り組み事例を交えながら解説している。
ハンドブックは、知的財産を活用した海外展開の検討から準備、実施に至るまでの各段階における検討事項をまとめた第1章「中堅・中小建設企業における知的財産を活用した海外展開に向けて」と、既に知的財産を活用している企業の具体的な事例を紹介する第2章「建設業における知的財産活用事例」、利用できる公的な支援制度を紹介した第3章「中堅・中小企業における知的財産を活用した海外展開に関する支援事業」の3つのカテゴリーで構成。国交省のホームページからダウンロードできる。
特に建設業は、用いられた工法が外部からは分かりにくいなど、模倣などの侵害が生じても、その発見や証明が難しいことから、技術流出や情報漏洩などの権利侵害を未然に防ぐリスク意識の向上と対応策の知識・ノウハウが必要と指摘。権利化された技術を自社で施工・活用するケースだけでなく、他社に実施許諾するフィービジネスなど、ビジネスモデルも多いことから、企業や、その企業が持つ技術にとって最も適切な知財戦略の構築が必要になる。例えば、日本で特許権や商標権を取得していても、外国での権利は成立しない。海外で知的財産を活用したビジネスを行うには展開先の国で特許権を取得する必要があるため、日本での特許出願と同時に外国出願の可能性も検討することが望ましいという。
知的財産の対象は、施工方法やメンテナンスの方法といった「工法」以外にも、建築物などの材料となる資材・建材といった「モノ」、橋梁などの「構造」、工事に用いる機材や装置といった「ツール」の4つに類型化できる。それらを活用したビジネスモデルは自社で実施する「自己実施」と、他の企業に実施・仕様を許諾する「他者実施」の大きく2つのパターンがある。
これらの使い分けや組み合わせによって、知的財産を活用したビジネスモデルのあり方はさまざまあるため、各企業の具体事例を交えながら解説し、知的財産の活用に役立つ内容を参考事例として示している。
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