2016/05/23

【担い手】深谷組(埼玉県)がラグビー部設立! アスリート採用制の人財育成を拡大


 とび・土工事の専門業者として、埼玉県を中心に事業展開する深谷組(深谷和宏社長)が、陸上競技部、硬式野球部に続き、ラグビーフットボールの企業チームを設立し、2017年度から社会人ラグビー公式戦に参戦する。3月に日本ラグビーフットボール協会(JRFU)の関連団体となる埼玉県ラグビーフットボール協会に加盟した。今後、17年春卒業予定の大学、高校生の採用活動を本格化する。深谷社長は「人材不足が叫ばれている建設業界に、当社が育てた多くの人材を輩出できるように取り組む」と力を込める。写真右から黒江通裕監督、深谷社長、新川裕太ヘッドコーチ

 16年春高卒者の採用活動が超売り手市場を背景に難航したことを踏まえ、新卒者は「アスリート採用制度」に基づく採用に特化する方針に切り替えた。17年春新卒採用(高校、大学)に当たっては硬式野球、陸上、ラグビー、国体レベルの大会出場を目指す軟式野球、相撲などのアスリート採用枠を設け、採用目標を約120人に設定した。うちラグビー部はもっとも多い35人程度の採用を見込む。
 現在、社員数は113人で、実現すれば200人を超える体制となる。深谷社長は「創業50年目の挑戦でもある。“人財”を育成し、現場に輩出することが使命だ」と強調する。将来的な目標となる500人体制の構築に向け、中途採用にも力を入れ、工事、営業、財務、経営企画など各分野の幹部になる人材の獲得を目指す。
 これまで月給制、各種手当て、社会保険対応の徹底など、若者が将来を託せる環境づくりを実践しており、現在は完全週休2日制に移行している。職人を直用する経営者として「時代に見合った適正な単価で受注していくことが大切だ」との方針を一貫している。
 今回発足するラグビー部は、ラグビーのメッカ・埼玉県熊谷市に拠点を置く方針。このため、熊谷営業所を設ける。硬式野球部と同様、本業優先の企業チームとして、週3、4日を練習に充て、春と秋の公式リーグ戦を中心に活動する。県北部の建設業界との融合に尽力する方針で、「ゼネコンやハウスメーカーの要望に応じて社員(職人)をまとまった形で供給する一方、こうしたお客さまにラグビー部を応援してもらえればありがたい」と期待を込める。
 JRFUから4月に指導者の認定を受け、ゼネラルマネジャー(GM)兼監督となる黒江通裕総務人事部長はプロ野球元巨人軍のV9時代、遊撃手でならした叔父を持ちながら野球からラグビーに転向。高校、大学ラグビーを経験した。「学生に希望を与え、本業とラグビーを長く続けられる環境を提供することが使命と考えている。拠点となる熊谷はワールドカップ杯を控えるラグビータウンであり、地域に貢献できるチームに育てたい」と抱負を語る。採用活動に当たっては「本業優先の新しいチームに共感する学生を求めて、全国各地を回る」と意欲を示す。
 指導者の認定を受ける講習会で、関係者から紹介された新川裕太氏をヘッドコーチとして招聘し、チームづくりの第一歩を踏み出した。2月に入社し、総務人事部に所属する新川氏はこれまで高校、大学、社会人チームでプレーし、経験が豊富。今年度も国体の埼玉代表メンバーとして招集されている現役ラガーマンだが「指導者になりたかったので、いいタイミングで話をいただいた。思い描いているラグビーを一からつくれる楽しみもある」と前を見据え、採用活動に全力を挙げる。
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