2016/05/06

【東大・目黒研】揺らして説明! 家具転倒を再現する簡易起震装置「てんとう虫」開発


 東大生産技術研究所の目黒公郎教授が代表幹事を務める「RC77・防災ビジネス市場の体系化に関する研究会」は、家具転倒防止器具の有効性を簡単にシミュレーションできる簡易起震装置「てんとう虫」を開発した。前面が開口した幅100cm、高さ133cm(標準的な天井高の2分の1に相当)、奥行き40cmの木製ボックスにキャスターを取り付けたもので、背面の取っ手を持って人力で揺さぶることで地震を簡易的に再現できる。

 ボックス内部は、強度が異なる3種類の天井板とフローリング、じゅうたん、畳を模した3種類の床材を交換して取り付けられるようになっている。そこに木製の棚を設置、転倒防止器具を装着して実際に揺らし、器具や天井材、床材の違いによる転倒防止効果を検証する。2台連結すれば、同条件での比較実験も簡単にできる。また、スマートフォン用の震動計アプリや加速度センサーアプリを併用すれば地震動の大きさをリアルタイムで把握できる。
 開発は目黒教授の発案で始まり、翔設計(東京都渋谷区)が設計と製作で協力。名前は「転倒シミュレーター」をもじって「てんとう虫」と名付けた。エレベーター保守管理のi-tec24が販売する。
 目黒教授は「さまざまなメーカーからさまざまな転倒防止器具が発売されているが、本当に効果があるのか疑問なものも多い。この装置があれば、大がかりな起震装置などを使わなくても簡易な実験ができるので、自治体や学校、研究機関、マンション管理組合などで活用してほしい」と話している。
 また、製品設計を担った翔設計の貴船美彦社長は「まだ試作品の段階なので、軽量化を図るなど、より使いやすいものに改良していきたい」としている。
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