北陸地方整備局北陸技術事務所が製造中止となった大型除雪グレーダーの代替車両として開発した、新型除雪トラックが今冬から実用化される。視認性、操作性は改良の余地が残るものの、除雪作業では“本家”さながらの性能を証明=写真。既存グレーダーの後継機問題やオペレーターの高齢化が全国的な課題となる中、技術開発でそれを補う姿勢を鮮明に打ち出している。
同事務所は、新型除雪トラックの開発に向け、2014年1月に新潟県妙高市で、4.3m320ps(馬力)級、3.7m220ps級の各除雪グレーダーと既存除雪トラック(10t級6×6路面整正装置付き)の能力を比較した。
除雪トラックはけん引力、圧雪除去量、ブレード・車体の振動、除雪後の路面の平坦性に関し、大型除雪グレーダー(4.3m320ps級)と引けをとらない高い性能を発揮。特に圧雪除去量は大型除雪グレーダーの倍以上の数値となった。
一方、実用化には圧雪処理精度のさらなる向上が求められることから、路面整正装置の切削角を改良した。固定式(70度)から82.5-90度に可変するシステムを採用するとともに、カッティングエッジは湾曲型から平型に変更し、広幅員型2枚ブレードの前後の段差を最大9.2mmから2.3mm(90度)に縮めた。切削角の可変により刃研ぎが可能となり、圧雪処理能力が保たれるという利点も確認した。
また、路面整正装置のブレードの動作速度を高めるため、油圧系統(油圧ポンプの容量)を改良し、現行から1.5倍程度引き上げている。
路面整正装置が運転席の後方にあるという欠点には、▽カメラ(車両後部の左右2台のカメラでブレード、路面状態を確認)▽角度センサー(切削角を数値で表示)▽アラウンドビューモニター▽スライドセンサー(ブレードのスライド幅を表示)▽LED(発光ダイオード)小型ブレードマーカー--の設置で対応している。
改良後の現場試験(妙高、藤沢、長岡、湯沢、二居の除雪工区で実施)では、圧雪処理の深さ、路面露出率(二値化処理)、路面平坦性とも大型除雪グレーダーと同等の性能を示した。試験機を運転したオペレーター14人が路面整正装置の切削角の可変と動作速度の向上を高く評価したことから、2015年度から導入する新型除雪トラック(2台)には両機能を標準装備する。いずれも関川除雪ステーションに配備される予定だ。試験機は引き続き北技が保有する。
北技の前田光昭施工調査・技術活用課長は、オプション装備となっているカメラなどについて、「視認性をより高め、オペレーターが除雪作業に専念できるように研究していく」考えだ。さらに、操作性でも「路面整正装置の推進角が固定されており、交差点など(の小回り)で課題が生じている」ことから検討の余地があるという。
同課の小林弘朗専門官は「大型除雪グレーダー更新時の機種検討や配備計画見直しの参考となるのでは」と話している。
除雪グレーダーは国内メーカーが13年3月に新車の製造、販売を中止した。ことし3月から土工兼用の新型除雪グレーダー(4.3m230ps級、ワンマン型)を再販しているが、4.3m320ps級と比べ、圧雪処理能力などは24-37%低下するとみられる。
大型除雪グレーダーの老朽化が懸念される中、車両のスケールダウンだけでそれを賄えば、必然的に所有台数が増え、コストと人材に跳ね返ってくる。そのため、他機種であっても既存の機械を活用(改良)しながら、現状の除雪体制を維持していくのが現実的だ。
北技では、新型除雪トラックのほか、ロータリー除雪車のマシンガイダンス(情報化施工)の開発も進めており、日本有数の豪雪地として雪害対策に先進的に取り組んでいる。
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同事務所は、新型除雪トラックの開発に向け、2014年1月に新潟県妙高市で、4.3m320ps(馬力)級、3.7m220ps級の各除雪グレーダーと既存除雪トラック(10t級6×6路面整正装置付き)の能力を比較した。
除雪トラックはけん引力、圧雪除去量、ブレード・車体の振動、除雪後の路面の平坦性に関し、大型除雪グレーダー(4.3m320ps級)と引けをとらない高い性能を発揮。特に圧雪除去量は大型除雪グレーダーの倍以上の数値となった。
一方、実用化には圧雪処理精度のさらなる向上が求められることから、路面整正装置の切削角を改良した。固定式(70度)から82.5-90度に可変するシステムを採用するとともに、カッティングエッジは湾曲型から平型に変更し、広幅員型2枚ブレードの前後の段差を最大9.2mmから2.3mm(90度)に縮めた。切削角の可変により刃研ぎが可能となり、圧雪処理能力が保たれるという利点も確認した。
また、路面整正装置のブレードの動作速度を高めるため、油圧系統(油圧ポンプの容量)を改良し、現行から1.5倍程度引き上げている。
路面整正装置が運転席の後方にあるという欠点には、▽カメラ(車両後部の左右2台のカメラでブレード、路面状態を確認)▽角度センサー(切削角を数値で表示)▽アラウンドビューモニター▽スライドセンサー(ブレードのスライド幅を表示)▽LED(発光ダイオード)小型ブレードマーカー--の設置で対応している。
改良後の現場試験(妙高、藤沢、長岡、湯沢、二居の除雪工区で実施)では、圧雪処理の深さ、路面露出率(二値化処理)、路面平坦性とも大型除雪グレーダーと同等の性能を示した。試験機を運転したオペレーター14人が路面整正装置の切削角の可変と動作速度の向上を高く評価したことから、2015年度から導入する新型除雪トラック(2台)には両機能を標準装備する。いずれも関川除雪ステーションに配備される予定だ。試験機は引き続き北技が保有する。
北技の前田光昭施工調査・技術活用課長は、オプション装備となっているカメラなどについて、「視認性をより高め、オペレーターが除雪作業に専念できるように研究していく」考えだ。さらに、操作性でも「路面整正装置の推進角が固定されており、交差点など(の小回り)で課題が生じている」ことから検討の余地があるという。
同課の小林弘朗専門官は「大型除雪グレーダー更新時の機種検討や配備計画見直しの参考となるのでは」と話している。
除雪グレーダーは国内メーカーが13年3月に新車の製造、販売を中止した。ことし3月から土工兼用の新型除雪グレーダー(4.3m230ps級、ワンマン型)を再販しているが、4.3m320ps級と比べ、圧雪処理能力などは24-37%低下するとみられる。
大型除雪グレーダーの老朽化が懸念される中、車両のスケールダウンだけでそれを賄えば、必然的に所有台数が増え、コストと人材に跳ね返ってくる。そのため、他機種であっても既存の機械を活用(改良)しながら、現状の除雪体制を維持していくのが現実的だ。
北技では、新型除雪トラックのほか、ロータリー除雪車のマシンガイダンス(情報化施工)の開発も進めており、日本有数の豪雪地として雪害対策に先進的に取り組んでいる。
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