2015/08/18

【働きかた】初の女性部長、「部下がなりたい管理職」目指す 日本電設工業・坂井奈穂子さん

4月から女性として同社初の部長職に就き、鉄道用の変電所の整備について鉄道事業者や社内からの相談などに対応している。

 就任の際は「話を聞いたときは不安もあった」と話すが、もともと人に会うのが好きな性格で「地方の鉄道事業者など全国に出向いて顧客の相談に乗っている。また、ミャンマー国鉄ヤンゴン路面鉄道の電車化プロジェクトにも参画し、刺激があって新鮮」と充実した日々が送れている。「技術系の社員は優秀な人材が多いので、そうした社員と顧客の間に立つ役割を果たしたい。一方で、持っている能力を顧客に伝えたり要望を聞き出すのも大事になる。顧客に信頼されるよう、社員の人柄も大事にしたい」と自らの役割を語る。
 大学では電気工学を専攻し、鉄道会社に10年ほど勤めた後、同社に入社した。入社の動機にもなったのは「実際に自分が書いた図面が現場で形になっていくこと、わたしの図面で人が動き重機が動いて形ができていくのに魅せられた」と語る建設業の魅力だ。「最先端でモノをつくるのは建設業ならでは。モノができあがってくるのを間近で見られる楽しさは格別だ。デスクワークだけでは感じられないことが現場では得られるので、ものづくりを志す人には建設業を目指してほしい」と、業界の素晴らしさを日々の業務でも体感していると語る。
 また「当社が携わる施工管理の業務は、マネジメント能力も問われる。女性はその能力が高く十分に通用する」と女性の進出にも太鼓判を押す。さらに業界のイメージについても「業界に入ると、働く人の姿と、社会で持たれているイメージがイコールではないと感じる。かつての3K(きつい・汚い・危険)のイメージとは変わり、建設業はむしろこれから注目の業界になれる」と業界の可能性も感じている。
 仕事を進める上では「時間内に仕事を終わらせる」のがモットーだ。家事や趣味などの時間を確保する意味合いもあるが、別の真意もある。「部下や後輩が、なりたいと思える管理者像でありたいと思う。『管理職はあんなに忙しいなら、なりたくない』ではなく、『あんなに楽しそうに仕事をするなら、わたしもなりたい』と思ってもらいたい」。その姿勢は、時間が不規則なイメージがある建設業にあって、女性が進出するためのモデルになりそうだ。
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