2015/08/26

【働きかた】「積算女子」の未来を作る! 「積女ASSAL」初代委員長・前田伸子さん

日本建築積算協会に発足した「積女ASSAL」の初代委員長に就任した。「最近では少しずつ建設業で働く女性を取り巻く環境が変化してきているが、積算・見積もりへの理解はまだまだ浅いのが現状」と語り、「コストへの関心が高まる中で、けんせつ小町、設備女子といった現場の女性だけでなく積算分野で働く女性『積女』の存在もアピールしていきたい」と意気込む。

 活動の中心となるのは、建設業で働く女性が交流する場づくりだ。「男性は社内にロールモデルとなる人間がいて自分が社内でステップアップすることに実感を持てるが、数が少ない女性は自分の立ち位置を意識しづらい」ため、女性同士のつながりを設ける。「積女ASSALを通じて他社との交流が生まれれば、自分の実力がどの程度なのかが分かるのではないか」と期待する。
 また、女性にとって大きな出来事となる結婚・子育てについても、「これまで個人の頑張りに頼っていた部分を組織化し、女性特有の問題を話し合いサポートする場にもしていきたい」と語る。
 積女ASSALのもう1つの役割は、女性のスキルアップだ。「女性がもてはやされているいまだからこそ、地に足のついた本当の実力が問われている」と語り、女性にとって処遇を改善するチャンスであると同時に、本物の実力を示す必要があると指摘する。近年の積算業務は単なる数量積算からコスト全般にかかわる業務へと広がろうとしているため、「1つの企業で積算だけに携わっていると世界が狭くなってしまう。いろいろな人と情報を交換し、交流を深めてほしい」と呼び掛ける。今後は設備女子会やけんせつ小町との連携など幅広い交流も検討する方針だ。
 自身、結婚と2度の子育てを経験した。女性が仕事を継続するには「パートナーの理解、周囲の協力、会社の制度、本人の気持ち」が不可欠だと感じている。このうち特に重要なのは本人の気持ちだという。「どんなに仕事が楽しくても、産休の後に以前と同じやり方で働くことはできない」とし、「自分がこれからどういう思いで仕事をしていきたいのかを考えてほしい」と建設業で働く後輩にアドバイスする。「自分の信じることをやってほしい」との願いを込めて。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【働きかた】女性でただ一人の現場実務、講演で全国飛び回る 杉孝・高橋理恵子さん  建設業界のことも、ましてや足場など仮設のレンタル業界のことも知らずに、大学卒業と同時に飛び込んだ。しかし、「女性ということで不便を感じたことはない」と言い切る。逆に、希望した営業からスタートして、「建設業は男性社会で女性が少ないため、顔と名前をすぐに覚えてもらうことができた」とメリットを挙げる。  「困ったときは、仲間や先輩に相談した」。問題は自分一人で抱え込まず、周りを信頼して助けを求めることができる外向的な性格で切り抜けてきた。入社… Read More
  • 【長野県】女性活躍に多彩な施策、技術者の名を刻むプロジェクトも展開  長野県は県内建設業、建設コンサルタント業界の将来を見据え、女性技術者の活躍推進や「担当した技術者の名前を刻もうプロジェクト」に力を注ぐ方針だ。  女性技術者の活躍推進では、▽週休2日を確保するモデル工事の拡大実施▽ノー残業デーの実施▽緊急時の主任技術者などの連絡員制度創設▽産休・育休期間に配慮した優良技術者表彰の加点期間(総合評価方式)の延長▽工事・委託業務の平準化対策▽女性の主任技術者、現場代理人を活用した工事で工事期間を通して課題に… Read More
  • 【大成建設】“なりたい自分”を書き出しと面談で具体化! 女性社員にキャリアパス研修  大成建設は、女性活躍推進に向けた取り組みの一環として、すべての総合職と専任職を対象とした「女性社員セルフキャリアパス研修」を始めた。研修は、ロールモデルの不在により将来像が描きにくい女性社員の支援が目的。セルフキャリアパス設計・実行シートを使い、自らの将来像をより具体的に描き、先輩から直に助言を受けることで、目標達成に必要な手段をより明確化する。同社人材研修センター(横浜市)で2日に開かれた初の研修には、2007、08年入社の女性社員5… Read More
  • 【女性活躍】焦点は「育児との両立」 群馬県の推進フォーラムで国交省・木村課長補佐が講演  国土交通省土地・建設産業局の木村よし子建設業課課長補佐は、群馬県が開いた女性活躍推進に関するフォーラムの基調講演で「仕事と育児の両立の問題で経営者側、女性側にも壁があり、せめぎ合う形になっている」とし、「こうした課題に対応するためにも企業、現場ごとの地に足の付いた取り組みが今後の大きな課題になる」と強調した。  5年以内に女性倍増を目指す建設業行動計画により機運は高まっているとする一方、12月に実施した実態調査の結果から「いまだ女性活躍… Read More
  • 【作業服デザイン・コン】目指せ実用・快適・スタイリッシュな作業着! グランプリは藤木美緒さん  新潟県建設業協会などで構成する「建設業の女性活躍に向けた新潟地域ネットワーク」は、女性のための建設作業服デザイン・コンテストの結果を発表した。グランプリには、国際トータルファッション専門学校ファッションデザイン科の藤木美緒さんの作品が選ばれた。  建設現場で女性が働きやすい環境を整備するため、実用性と快適性を備えたスタイリッシュな作業服を企画、開発するのが狙い。 同校からの協力(デザイン提案)の下、新潟建協女性部会などで審査を進めた。2… Read More

0 コメント :

コメントを投稿