2015/08/09

【素材NOW】構造物の点検足場にアルミニウム合金が活躍 既設橋でも負担少なく

橋梁などの土木構造物にアルミニウム合金を活用する動きが増えてきた。これまでは腐食に強く、橋梁の化粧板などに使われてきたが、鉄より軽量であることから、橋梁にかかる負担を減らせる点も注目されている。長寿命化へのニーズが高まる中で、日本アルミニウム協会が土木学会と共同で、アルミ合金を土木構造物に適用するアルミニウム合金土木構造物設計・製作指針(案)を策定したことも追い風となっている。写真はアルミニウム合金の足場「CUSA」が初適用された愛媛県の岩松川橋。

 指針の策定により、橋梁の長寿命化対策として橋梁下部につける常設型作業パネルや検査路、道路橋用の防護柵のほか、床板など幅広い用途への活用が期待される。鉄に比べ軽量であるため、スピーディーな施工が求められる緊急仮設橋などにも活用されている。
 土木構造物への活用例として、橋梁の点検用足場がある。住軽日軽エンジニアリングが、2013年に横河ブリッジと共同開発したアルミニウム合金製の橋梁用常設作業パネル「CUSA(キュウサ)」もその1つ。愛媛県宇和島市の橋梁に初適用され、今後の活用が見込まれている。

桁間設置タイプ断面図
CUSAは従来あった鉄製足場と比べて、軽量であるため人力での施工も可能で、既設橋への負担も少ない。支持材の使用が少ないことにより、パネルの脱着も容易だ。パネルの付け替えが生じた際に、省労力で取り外すことができる。さらに、底面がフラットになっており、点検の際には光の入らない内部で作業員の安全を確保する。また、アルミニウム合金の高い遮塩性能を構造物の塩害対策に活用している。沖縄県の暴露試験場での塩害の検証実験を済ませた。
 営業企画部の石井和紀担当次長は「鉄との置き換え需要は十分にある。橋梁の設置される環境はさまざまで、顧客のニーズにあわせてアルミ合金製検査路などの提案も進める」と販売を拡大したい考えだ。14年の道路法施工規則の一部改正で、橋梁の近接目視による点検の義務化がスタートした。点検足場の需要増に対しても、同社はアルミニウム合金の適用を狙う。今後は、常設点検パネルや検査路、道路橋用の防護柵などの新商品で2-3億円の売り上げを目指している。
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