2015/08/26

【現場の逸品】モニターで目視点検、3次元管理も! 橋梁点検の切り札『橋竜』 

カナモトがオペレーター付きでレンタル提供する遠隔橋梁点検車『橋竜』の点検実績が累計で200件を超えた。「われわれには最後の手段として、やっかいな橋の点検依頼が回ってくる」と、ニュープロダクト室の吉田道信室長は明かす。

 車両に取り付けたアームを伸ばし、橋の下の状況を監視カメラで撮影する橋竜は、モニターを見ながら目視点検ができ、撮影した点検結果を3次元処理する専用ソフトも装備している。2007年に大雪ダム(北海道上川町)の東大雪大橋で初採用され、着実に実績を伸ばしている。
 同社には、橋を改修工事する際の事前調査として点検を依頼されるケースが多い。最近は5年ごとの定期点検に関連する依頼も増えてきた。橋梁下部に対応する高所作業用の点検車両もレンタル提供はしているが、大型車両であるため、小さな橋では利用が難しい。悪条件でも対応できる機動力が橋竜の強みだ。

車両は幅2.20m、長さ8.25m。開発時にはワゴン車を活用したタイプを考えていたが、アームの長さが足りず、4tトラックのサイズに落ち着いた。広域特需営業課主任で橋竜オペレーターも務める友野洋平氏は「橋幅が16m以内であれば、桁裏の腹(中心)部分まで撮影できる。母数の多い片側2車線歩道付きの橋は問題ない」と強調する。

点検作業は2人1組。ガードマンを含め最少3人で作業が進められる。運転席と助手席から、1人がモニターを見ながらジョイスティックを使ってアームを点検位置まで操作し、もう1人がその先に取り付けられたカメラを動かしながら撮影する。これにより高所作業所用のバケットでは確認しにくい部分まで把握できる。
 「操作は簡単そうに見え、実はコツが必要。橋に傷はつけられないため、3カ月かけて操作の訓練を積んだ」(友野氏)。同社は専用車両1台を保有し、現在は専用オペレーター2人の体制で対応している。現場を熟知した広域特需営業部の澤幸男担当部長は「点検の条件にもよるが、1日の作業は100mが目安」と説明する。

橋竜の強みは、撮影の機動力だけでない。点検結果をコンピューターで3次元管理できるため、定点観測を行えば劣化の進行状況も把握できる。既に業務依頼は半年先まで埋まっている状態だ。現在は車両が北海道で活躍している。吉田室長は「詳細な点検ができずに諦めていた橋があれば、ぜひ一度、橋竜を使ってもらいたい」と手応えを口にする。
 問い合わせは同社ニュープロダクト室・電話03-5408-5605。
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