2016/07/30

【現場最前線】高さ制限21mでボックスカルバートを構築せよ! 横浜環状北西線北八朔街路


 横浜市北西部と横浜都心・湾岸エリアのアクセス向上などを目的として東名高速道路横浜青葉インターチェンジ(IC)と第三京浜道路港北ICを結ぶ横浜環状北西線の整備が進んでいる。横浜青葉IC南部の緑区北八朔工区では土工部318mのうち、91mの施工を飛島建設・センチュリー工業JVが担当している。現場上空を高圧線が横断する厳しい条件の下、細心の注意を払いU型擁壁とボックスカルバートの構築に取り組んでいる。今村隆史港北作業所長は「最後まで安全第一で取り組みたい」と意気込む。

 横浜環状北西線は、延長約7.1㎞mの自動車専用道路。併せて整備が進む横浜環状北線と一体となることで、東名高速道路から横浜港まで現在の半分以下の約20分でアクセス可能となる。
 横浜市発注の「高速横浜環状北西線(北八朔地区)街路整備工事(その2)」は、コンクリート8500m3、鉄筋1200tを使用し、幅29.2m、高さ12.8m、長さ20mのU型擁壁と、幅30.6m、高さ9.5m、長さ71mの3連1層ボックスカルバートを構築する。高架から地下トンネルに移行する個所のため、港北IC方向へ5%の下り勾配がある。工期は2015年2月から16年12月までで、7月20日現在の進捗率は約80%。H鋼の土留め壁を設置後、3万m3の土量掘削を経て、現在はボックスカルバートの躯体構築を中心に取り組んでいる。

今村隆史港北作業所長

 現場には桟橋を設置しクレーンで資材搬入しているが、上空を横断する高圧線のため21mの高さ制限が設定されている。そのため、高圧線両側にそれぞれ8m間隔でレーザーバリアシステムを2基設置し安全確保に努める。桟橋上のクレーンのブームがバリアに触れると警報が現場に鳴り響く仕組みとなっているほか、「クレーンのリミッターも20mに設定し、注意を払い施工を進めている」(今村所長)。
 ボックスカルバートの施工では、効率性と安全性のため山留壁の土圧支持を水平梁から斜梁に設計変更した。水平梁を採用する場合、3連の中央空間にも梁が必要となるが、撤去の際に「狭い範囲内で外すことが困難」(今村所長)と判断。広さのある両側空間のみの設置で済み、効率よく撤去できるため斜梁の採用を決めた。

入社3年目の高田知世さん(飛島建設)

 15年10月からは飛島建設入社3年目の高田知世さんが配属され、日々汗を流す。現場では、コンクリートのひび割れの有無などの確認に当たる。入社1年間は内勤として、コンクリートの温度応力解析を手掛け各現場のコンクリート選定に取り組んだ。
 現場配属について高田さんは「職員や職人の方と協力して構造物が出来上がっていくことに感動する」とやりがいを明かす。今村所長は「彼女が現場を歩いて危険を感じない状態をつくることこそが安全だと考えている」と語る。
 9月始めにはコンクリート打設が完了し、その後は埋め戻し工や仮設撤去に取りかかる。今村所長は「躯体を安全に構築するのが目標。ひび割れのないコンクリートを打設したい」と気を引き締める。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【現場最前線】鉄骨建方精度は万全! 長野駅新駅ビル(仮称) 新築他 2015年3月の北陸新幹線金沢延伸開業を見据え、長野市が実施する長野駅善光寺口駅前広場整備に合わせる形で、東日本旅客鉄道(JR東日本)が進めている同駅改良工事や善光寺口の新駅ビル新築などの工事が大きな節目を迎える。25日から仮設通路を閉鎖して東西自由通路に切り替え、11月21日には既存駅ビル(MIDORI長野)と新駅ビルの各一部フロアが東西自由通路と直結し、先行オープンする。新駅ビルなどの施工を担当する鉄建・大林組JVの河合和彦作業所長は「… Read More
  • 【現場最前線】国内最深72mの発進立坑を掘削 JSの芝浦~森ヶ崎連絡管工事 前田建設工業・鴻池組JVが建設する深さ71.8mの立坑 日本下水道事業団(JS)は、国内最大深度まで掘削する立坑工事を行う東京都芝浦水再生センター・森ヶ崎水再生センター間連絡管建設工事現場と、MBR(膜分離活性汚泥法)の実用化実験を行う技術開発実験センターを公開した。 連絡管建設工事は東京都下水道局から受託。発進立坑は前田建設工業・鴻池組JVが受託し深さ71.8mの立坑を構築している。この深度での掘進は「日本で最深度クラス」(菅井雅之日本… Read More
  • 【現場最前線】県産材が大空間の構造を担う! 内藤廣設計の静岡県草薙総合運動場体育館 「建築屋としてのターニングポイントになった」。鹿島・木内建設・鈴与建設JVの箕浦達也所長は、今回の体育館の構造を手掛けてそう感じたという。RC造の下部躯体に免震装置を乗せ、その上に設置した256本の集成材垂木が鉄骨造のトラス屋根を支える。長さ15mの静岡県産集成材が、すぐれた意匠性とともに見事に構造体として機能している。それが草薙総合運動場体育館だ。設計は内藤廣建築設計事務所が担当した。  体育館のフロアや2700席ある観覧席は、RC造… Read More
  • 【現場最前線】複雑なPC版構造、車両不足、狭小敷地…それでも闘い抜く 喜多方市庁舎 蔵とラーメンで知られる観光都市・福島県喜多方市が建設を進めている新市庁舎。周辺5市町村との合併を象徴する扇形の本庁舎棟という、シンボリックな形状は、建築主と設計者の強いこだわりの証でもある。その具現化にあたっては、着工から現在に至るまで、さまざまな制約との“闘い”が続いている。施工を担当している清水建設・樫内建設工業・唐橋JVの現場を取材した。  地鎮祭が行われたのは2013年8月上旬。1期工事として、本庁舎棟の施工に着手し、盆休み明けから… Read More
  • 【現場最前線】営業線、新幹線基礎、民家が隣接する緊張の現場 品鶴線大崎駅構内住吉こ道橋 首都圏では、踏切の解消や交通円滑化を目的とした立体交差事業が数多く進んでいる。鉄建・ジェイアール東海建設JVが東京都品川区で施工中の「品鶴線大崎駅構内住吉こ道橋他新設工事」もその1つ。東京都の都市計画道路補助第26号線整備事業の一環として営業線直下に道路を通すと同時に歩道橋を整備する事業だ。交通円滑化といった整備効果に加え、火災時の延焼を防止する空間としての効果も期待されているが、施工条件は厳しい。営業線との近接施工に加え、新幹線の橋脚基礎… Read More

0 コメント :

コメントを投稿