2016/07/15

【宮城建団連】所長と職長が本音で議論! 現場の実例踏まえた意見・要望相次ぐ


 宮城県建設専門工事業団体連合会(宮崎佳巳会長)は13日、仙台市青葉区のホテル白萩で第20回職長との懇談会を開いた=写真。元請団体からは従来の宮城県建設業協会に加えて、正式に日本建設業連合会東北支部も参加し、大手・地元ゼネコンの現場所長6人と建団連会員会社の職長が、現場におけるさまざまな課題の改善に向けて率直に意見や要望を述べ合った。

 冒頭、あいさつに立った宮崎会長は「元請けと専門工事が対立するのではなく、建設現場の環境を少しでも改善し、若者が建設業に入職してほしいとの思いでこの会を開いている。忌憚(きたん)のない活発な意見交換をお願いしたい」と語った。
 その後の意見交換は、本会に先立って建団連側が躯体と仕上げの2グループに分かれて行った懇談で出た意見を発表し、それに対して元請けの所長が答えるかたちで進められた。

◆職長から、元請け側から
 この中で躯体グループの職長からは「忙しい工程で混在作業が多く作業効率が低下する」「変更や追加が多く現場での対応が困難だ。施工図をもとに事前にしっかり打ち合わせしてほしい」「アンカーのセットの精度が低く台直しが多い。精度が高ければ鉄骨建て方などは上までスムーズにできる。台直しも見積もりをとっているわけでもなくサービスでやることが多い」など、工程から具体的な施工の内容まで、さまざまな意見や要望が出された。
 元請側からは、工程について「厳しい現場もあるが、極力混在作業のないよう工程を組んでいる」などの回答があった。また、アンカーのセットに関しては、非常に重要で入念にチェックが必要であるとの認識で一致。図面変更への対応などでは、「若手職員に力量不足の面がある。図面変更に対応できるよう教育に力を入れている」など、若手のレベル向上の必要性を指摘する意見も出された。
 このほか、職長からは「休憩所はできるだけ広くとり体を休めるようにしてほしい」「湧水の可能性があるのにポンプを準備しておらず待機が多い現場があった」「元請けの職員に質問しても翌日まで回答がないなど、対応が遅い」などの声が上がった。
 仕上げグループの職長からは「直接関係ない工事だと工程の変更があっても連絡がないが、事前に教えてもらえば流れが読めるので連絡してほしい」「工程が遅れると仕上げにしわ寄せが来る。残業や休日で対応しているが、余裕がなければ良いものができない」など、工程に関わる意見や要望が出されたほか、「きずや汚れなどに気付いたらすぐ教えてほしい」など、先行する他業種に対する要望などもあった。

◆安全対策にも要望
 さらに、安全対策についても「安全通路に工具を置かず、置いた場合は通行止めにし、別の安全通路を設けてほしい」「立ち入り禁止の表示板が少ない」「親綱の設置はプロのとび職に担当させてほしい」など、現場での実例を踏まえたリアルな意見や要望が相次いだ。
 一方、職長の指摘などに丹念に応じていた元請けの所長からも「年齢に関係なく意見を言い合える体制をつくってほしい」「より良いものを作るため気付いたことは積極的に提案してほしい」「ベテランが経験の浅い作業員を怒鳴りつけていることがあるが、若者定着の観点からもメリハリのある教育を心掛けてほしい」「職長の技術をわれわれの若手職員に教え、育ててほしい」「他の職種とも積極的にコミュニケーションをとってほしい」などの要望が出されるなど、双方で本音の意見が飛び交い、今後の現場環境の改善に資する有意義な会合となった。
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