2016/07/26

【士会連合会】生活者の視点で居住空間を考える 女性委の26回連絡協議会


 日本建築士会連合会(三井所清典会長)の女性委員会(永井香織委員長)は22、23日、奈良市の奈良女子大学で第26回全国女性建築士連絡協議会を開いた。女性委員会委員を中心に全国から約550人が参加した。写真は永井委員長

 初日、渡辺光雄岐阜大名誉教授は「日本の暮らし 豊かな生活文化の再発見-女性の力で『発見』から『創造』へ-」をテーマに講演。和室建築から▽ビルドインの知恵▽建具開閉による空間の変化▽畳の感触やモジュールの文化▽縁側から庭に広がる独特な開放感▽世界に類のない木造のディテールと仕上げ--を継承すべき伝統技術に挙げ、「建築士が次の『暮らし方』を提案するためにも、古い技術と新しい手法を同時に準備して若い世代との間に住まいを語り合う関係をつくっていく必要がある」と説いた。
 その後のパネルディスカッションでは女性委員会が実施した和の暮らしへのアンケート結果などを通じて、和の暮らしの快適さや受け継ぐべきものについて意見を交わした。
 22日の協議会に先立って開いた会見で永井委員長は「生活者であり子どもや高齢者、台所を抱える女性の視点から震災復興、居住空間のあり方を考える機会として大きな意義を持つ。前回25回の節目を迎え、これからは新たなステップに進めていきたい」と意気込みを語った。

三井所清典会長




 協議会冒頭で三井所会長は「女性は男性の5倍の受信力と発信力を持つといわれる。今回、話し合われる内容を地元に持ち帰っていただき、広く発信してほしい」とあいさつ。近畿建築士会協議会会長も務める岡本森廣大阪府建築士会会長は「皆さんの働く舞台を広げるためにも重要な機会だ。実りある議論をしていただき、女性建築士の増加にもつなげていただきたい」と期待を寄せた。
 ホストを務める奈良県建築士会の渕上徳光会長は「来年は京都で連合会の全国大会が開かれる。さまざまな文化が生まれた奈良時代、その文化を背景に多様な建築物が建立された平安時代。それぞれの古都を満喫してほしい」と話した。


 その後、渡辺光雄岐阜大名誉教授が「日本の暮らし、豊かな生活文化の再発見」をテーマに講演したほか、湯川直紀ライフケア総合研究所代表、奈良女子大大学院生の臼田ゆかりさん、奈良士会の岡田伸子氏、渡辺名誉教授、永井委員長によるパネルディスカッション、東北、九州の震災被災地からの報告会も行った。
 23日は8分科会(防災、エネルギーと暮らし、歴史的建築物と建物再生、環境共生住宅、景観まちづくり、子どもと住環境、高齢者社会と福祉住宅、二地域居住の提案)に分かれて意見交換を開いた。
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