相模原市中央区で総合解体業を手掛ける相模工業(伊藤由樹社長)などが開発した発破技術が解体工法の新たな可能性を広げる--。小規模限定発破ミニブラスティング工法の発破工法と破砕用デバイスを開発し、1発当たりの起爆秒時差を一般的な0.04秒から0.001秒と40分の1に短縮。振動と騒音の低下とともに破砕制御の精度を高め、安全性を確保した。都市部での解体や災害地での活用も想定している。
高度経済成長期に整備された大量の施設の老朽化に伴う解体、耐震補強や生活スタイルに合わせた改修などの需要に対応し、解体の新たな可能性を広げることを目指した。「打撃」「圧砕」「切断」などの既存解体方法に「発破」という新たなアプローチ方法を加える。
同社と火薬メーカーが日本火薬工業会と火薬学会の協力を得ながら2009年に開発プロジェクトをスタートした。同プロジェクトは、経済産業省のものづくり中小企業製品開発等支援補助金(試作開発等支援事業)にも採択され、開発費を確保した。開発費に約1億円を投入した。
これまでの発破は振動や騒音、破砕制御の精度、安全面などで課題を抱えていたことから、ヨーロッパなどで実用事例のあるミニブラスティング工法の技術を製品化した。相模工業が精度の高い発破工法、火薬メーカーが破砕用デバイスの開発を担当し、火薬1・25グラム単位、起爆秒時差0.001秒の高い精度で制御可能な発破技術をつくりあげた。建物自体への影響を低減し、改修工事などにも対応できる。解体の補助工法として重機の使用を減らし、労働者や環境への負荷も低減する。
導入事例では、住宅に囲まれたRC造3階建ての事務所1階部分を残す相模原市の公共施設改修工事で提案し、費用対効果などが最も高い工法として採用された。建物屋上部から順次RC部材(床、梁、柱)に少量の火薬を使って発破。建物から切り離した部分をクレーンで揚重し、建物への損傷なく作業を終えた。
相模工業の伊藤農利夫会長は同プロジェクト終了後も「安全・安心につなげるために実験を繰り返し、技術の精度をさらに高めている」という。同工法は特に大断面の部材や構造物などでより効果を発揮し、解体部位によっても異なるが「通常工法に比べ最大25-30%工期が短くなる」と説明する。「発破の許認可に時間が掛かること」に加え「発注者や周辺住民の理解を得ること」が課題とし、普及に向けた活動を続けている。
◇相模工業 (同市中央区由野台1-3-12。電話042-754-0260)。
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