若手技術者が一丸となって建設コンサルタント業界を活性化する一大ムーブメントを--。建設コンサルタント業界への入職低迷や、若手技術者の離職が増加傾向にある中、建設コンサルタンツ協会東北支部会員企業の若手技術者有志による「若手の会」が15日に立ち上がった。企業の垣根を越えて若手技術者の共通課題や魅力ある業界の発展に向けて情報交換する組織だ。初代委員長に就いた山本佳和氏(復建技術コンサルタント)に会の活動方針などを聞いた。
--若手技術者を取り巻く課題は
「第1は建設コンサルタント業界に就職を希望する学生が少ないことだ。認知度の低さが主な要因と考えられる。職業を聞かれて『建設コンサルタント会社に勤めている』と答えてもなかなか理解してもらえず、『道路や橋の設計をしている会社』と言ってようやくわかってもらえるレベルだ」
「第2の課題は20代、30代の技術者の離職率が高いことだ。理由はさまざまだと思うが、会の設立に当たって支部会員の若手技術者にアンケートを実施した結果、『仕事の悩みを相談できる同年代の社員がいない』『上司・先輩は仕事が忙しく、技術的な指導を受ける時間がない』といった回答が多かった。こうした状況で悶々(もんもん)として仕事をしているうちに、他業種が良く見えてしまうのではないか」
--協会本部で昨年4月に「若手技術者の会」が立ち上がったが
「全国の若手技術者約30人で構成しており、自分もメンバーとして参加している。活動の柱は3つあり、その1つが支部の若手技術者との交流だ。昨年度は前から組織があった北陸、関東両支部、今年度も九州支部の若手の会との交流会を開催した。こうしたイベントを通じて横のつながりを広げている」
「2つ目の柱は、ワークスタイルの勉強だ。当業界は他業種に比べて職場環境などの整備が10年遅れていると言われる。まずは業界内で先進的な取り組みを行っているパシフィックコンサルタンツと八千代エンジヤリングの両社を見学させてもらった」
「3つ目は、経営者との座談会だ。若手技術者だけで議論するのではなく、この業界を築いてきた経営者の思いを聞き、継承していくことも重要だ。昨年度はできなかったが、今年度はぜひ開催したい」
--東北支部の若手の会を設置した理由と活動方針は
「本部と各支部との交流会を開催している中で、若手組織がない東北は全国的な展開から取り残されてしまうと思い、東北支部に設置を要望した。設立時のメンバーは18人で、地場と広域コンサルの両方の技術者で構成している。具体的な活動内容は今後詰めるが、同業他社の話を聞く機会を多く設けるほか、他業種の企業見学などを行い、視野を広げていきたい。業界の認知度向上、イメージアップにつながる活動も展開していく方針だ」
(やまもと・よしかず)2008年3月茨城大工学部都市システム工学科卒後、同年4月復建技術コンサルタント入社。主に道路設計やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)関連の業務に従事し、現在は同社道路保全部技術二課係長。福島県いわき市出身、30歳。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
0 コメント :
コメントを投稿