2016/07/10

【本】“全方向に向かう”公共空間「なかまちテラス」 妹島和世氏の思い伝えるパンフ作成


 東京都小平市は、建築家の妹島和世氏が設計を手掛けた「なかまちテラス」のパンフレットを作成した。市立仲町公民館と仲町図書館からなる生涯学習施設をカラー写真などで紹介するとともに、平面図を掲載しているのが特徴。国内外から建築を観に訪れる来館者も多い中、妹島氏がどのような思いで設計したのかが分かる内容となっている。

 なかまちテラス(仲町145)は、S・RC造地下1階地上3階建て延べ1453㎡の規模で、2015年3月にオープンした。施工は大成建設。3月から今月4日まで米国・ニューヨーク近代美術館で開催された、日本の建築家に焦点を当てた展覧会『A Japanese Constellation』の中でも紹介された。世界的に著名な建築家が手掛けた建築を体感しようと、国内外からの来館者も多い。

2015年3月に開館した「なかまちテラス」

 こうした中で、同市は妹島氏の協力を得て、パンフレットを作成。この中で、妹島氏は「1つの塊の建物でなく、いろいろな場所がつながって出来上がる建物を考え出した」「複数の塊の間には空気が流れ、建物と周りが混じり合い始める」「複数の塊は内部ではそれぞれ個性を持つ内部空間を生む」とし、「ガラスの面も壁の面も光を柔らかく反射するアルミのエキスパンドメタルで包まれ、全方向に向かって立っている」と説明、「この地域の人のための、そして、この環境の中の、新しい公共空間になれたらと思う」とメッセージを寄せている。
 図面は、各階の100分の1の平面詳細図と50分の1の断面詳細図を掲載。また、カラー写真を交えて各階の施設内容を紹介している。
 小林正則小平市長は、「地域のシンボル的な施設とともに、市の観光資源の1つになることを期待している」と話す。
 パンフレットは、市内各図書館(分室を除く)のほか、市役所1階市政資料コーナーでも販売している。定価110円(税込み)。

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