2016/07/10

【E&E会議inプラハ】会議外でも舗装現場チェック! 貪欲な調査団、日本の優位性確信し帰国へ<5>


 会議最終日のクロージングセッションでは、欧州アスファルト舗装協会(EAPA)のエフベルト・ブーヴィング事務局長が各セッションの要約を説明し、「すべてのレベルのリサイクルで95%以上が達成できる」「道路舗装建設を持続可能な方向に導くプラハで見た技術を適用するためには、良い契約システムが必要」などの最終とりまとめを報告した。写真はプラハ会議センター近くの橋面舗装の改修工事現場

 続いて、欧州アスファルト協会(Eurobitume)のシボーン・マッケルビー会長が、次回(第7回)のE&E会議は2020年5月13-15日にスペインのマドリードで開くことを発表した。合わせて技術革新のスピードに対応するため、18年5月14、15の両日にドイツのベルリンで「第1回E&Eアスファルトデー」を開催することを報告し、会議は閉幕した。
 3日間にわたる会議を通じ、調査団は知見を広げるとともに、厳しい気候風土の中で独自の進化を遂げてきた日本の技術が、世界トップレベルにあることを再認識した。「舗装の品ぞろえや品質ではひとつ上を行く」など、日本の優位性に自信をみせる団員も少なくなかった。

◆プラハ市内の舗装現場も観察
 調査団員はバスや徒歩での移動中にも貪欲な姿勢で道路を観察し、高い技術力を支え続ける“技術者魂”は、会議外でも大いに発揮された。
 会議会場のプラハ会議センターの近くでは橋面舗装の改修工事が進んでいた。橋は深い谷間をまたぐように架かり、プラハ市内でも指折りの高さを誇る。道路と鉄道の共用橋で、車道の下には団員が3日間使った地下鉄C線が走る。
 複数の団員は、すかさず橋面舗装の現場を視察。会議の合間を縫って足繁く通い、会議2日目の段階で「既に6往復している」と笑顔をみせる猛者もいた。
 現場では、片側3車線の外側1車線でアスファルト舗装の打ち替えが行われていた。ある団員は、手押しのスイーパーで丁寧にコンクリート床版からアスファルトを取り除く作業を見て、「かなり丁寧な切削」と高く評価。一方、切削機が誘導員なしで通行車線を走る一幕もあり、「日本では考えられない」と驚く団員も。安全管理に対する意識は日本ほど高くないようだ。
 降雨もあり、会議期間中には結局、切削作業しか見ることができなかったが、「橋面舗装の打ち替えが、会場のすぐそばでお目にかかれるなんて幸運過ぎる」と熱っぽく語る団員の姿が強く印象に残った。
 プラハには日本から直行便が就航していないため、調査団はオーストリアのウィーンを経由し、陸路でプラハ入りした。休憩に立ち寄ったパーキングエリアでは駐車場の舗装を丹念にチェックする団員の姿もあり、常に舗装の話題で盛り上がっていた。
 EU(欧州連合)加盟国の道路インフラへの投資額は08年をピークに減少傾向にあり、メンテナンス費用が増大しているという。道路の効果的・効率的な維持管理は日本同様、欧州でも大きな課題になっている。

プラハ市内の道路

 プラハ国際空港へ向かうバスの中からは、ひび割れをクラックシールで補修しているアスファルト舗装が時折目に入った。団員の1人に聞くと「資金がない場合の補修。打ち替える予算がない印象を受ける」という。
 新設から維持修繕分野へのシフト、公共工事予算の減少など、道路を取り巻く環境は日欧で共通している部分も多い。会議では効果的な道路メンテナンス戦略の実行に向けて、道路管理者に勉強を促す場面もあった。
 優れた技術や手法があってもそれが生かされなければ意味がない。限られた予算で最大の効果を上げるために、「良い契約システム」の重要性はますます高まっている。 (おわり)
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