2015/09/17

【現場最前線】地下24mをケーソンで沈下掘削 市川市大和田ポンプ場


 江戸川に面した千葉県市川市の閑静な住宅街で、ニューマチックケーソン工法による排水ポンプ場の建設が進んでいる。工事による騒音や振動など周辺環境に十分配慮した現場の地下約20mでは、14台ある天井走行式ケーソンショベルのうち、8台が遠隔操作による沈下掘削を行っていた。施工を担当している飛島建設・大豊建設・東急建設JVの南郷哲男所長は「重量のある大きな構造物を沈めていくため、精緻な沈下管理が求められる。特に初期段階は傾かないよう細心の注意を払った」と振り返る。

 この「市川市大和田ポンプ場建設工事」(事業主・市川市、発注者・日本下水道事業団)では、ポンプ棟、吐出水槽、オイルタンクを新設する。ポンプ場の躯体はニューマチックケーソン工法で構築・沈設を進めている。躯体の構築にはコンクリート2万2000m3、鉄筋4100tを要し、全7ロットに分けて構築しながら、沈下させていく。
 躯体が大きく、そのまま施工すると躯体の重量だけで沈下が始まってしまうため、「沈下掘削に当たっては、まず静的締固め砂杭工法で深さ10mまで地盤改良し、周辺地盤の変形を抑える鋼矢板の圧入など行った後、躯体を3ロットまで構築した上で沈下掘削を始めた」(南郷所長)。
 最終の沈下掘削深さは24.1mで、掘削土量は5万4000m3。8月25日現在の掘削深さは20.3mで、躯体構築工は全7ロットのうち6ロット目を施工中だった。

躯体構築の作業状況

 現場周辺が閑静な住宅街なため、沈下掘削は水掘りを採用し、圧縮空気が外に漏れて井戸や地下構造物に影響が出ないよう配慮しているほか、工事車両による振動の抑制を目的に発泡スチロール(EPS)やウレタン状のセルダンパーを設置したり、タイヤ式のバックホウを使用するなど徹底している。
 騒音対策では、マテリアルロック高を通常よりも低くし、圧縮空気の排気音を構造物で遮るとともに、大型ロックマフラーで低減。外足場の外周に防音シート、隣接する住宅側に5mの防音壁などを設置し、騒音計で24時間監視も行っている。現場見学会の開催や地元の祭りへの参加など地元の交流にも努め、市川市が行っている「ガーデニング・シティ いちかわ」のサポーターに登録し、周辺美化にも取り組んでいる。
 工期は2012年12月18日から16年3月25日まで。17年4月の供用を目指している。8月25日現在の工事進捗率は約80%で、南郷所長は「躯体の構築は高所作業のため、墜落・転落災害が起きないよう、またケーソン完了後には重量設備の解体もあるため、最後まで気を緩めずに無事故無災害を達成したい」と決意を新たにする。
 この工事は、浸水被害対策の一環として、新たに排水能力毎秒27m3の大和田ポンプ場を構築し、雨水排水能力を向上させるもの。市川南排水区の雨水は、排水能力毎秒23m3の秣川排水機場から江戸川に排水されているが、都市化の進展に伴って雨水が地下に浸透しにくくなり、台風などの豪雨時に浸水被害が多く発生していた。
 計画では、大和田ポンプ場に加え、排水能力毎秒10m3の市川南ポンプ場も新設し、合わせて毎秒60m3の排水能力に増大させる。

▽構造=RC造地下4階地上1階
▽建物高さ=約10m
▽計画排水量=毎秒27m3(今回整備毎秒19m3)
▽ポンプ台数=計画設置台数5台(今回整備4台)
▽建設地=市川市大和田2-22
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