「これは単なるビューワではない」と、タブレット端末を指差しながら自信満々に語るのはドイツCADベンダーのグレバート社でマーケティング総責任者を務めるセドリック・デスボード氏だ=写真左。同社の開発したDWGファイル形式に対応したCADエンジンは世界で800万人に使われ、日本でもDWG互換CAD『JDraf(ジェイドラフ)』として愛用されている。これまではデスクトップに限定していたが、新たにタブレットの活用も可能にした。「モバイルCADの手軽さを日本のユーザーにも試してもらいたい」と呼び掛ける。
グレバート社が開発コンセプトに掲げるのは「パフォーマンス」「モバイル」「クラウド」の3点。インターネットの進展で大容量データの高速化が実現し、スマートフォンに代表されるようなモバイル端末の普及も急速に進んでいる。世界的にもハード機器の売上げはモバイル端末がデスクトップを大きく上回る。同社の調査によると、2018年までに約6割のITマネジャーは自らが使う機器の半数以上がクラウドに変わることが浮き彫りになり、ツール環境も大きく変わろうとしている。
図面に画像を入れ込むことができる |
モバイルCADの利点はどこにあるか。デスボード氏は設計作業の幅を広げる手軽さの部分を特に強調する。「どこにいても図面にアクセスでき、いつでも好きなときに作図作業もできる。現場で図面にメモやカメラを使って、注釈や画像を付与することも可能だ」。日本では16年からモバイルCADの利用をスタートさせる予定だ。しかもJDrafのライセンスユーザーであれば、無償で利用できる“必須のアイテム”として提供する。
これだけにとどまらない。グレバート社のロバート・グレバートCTO=写真右=は「DWG形式が普及する日本は、われわれにとって大きなビジネスチャンスが期待できる」とし、新たな仕掛けとして「クラウドCADの提供も準備している」ことを明かす。作図編集や閲覧などの権限を設けることで、より幅広い使い方も可能だ。どんなデバイスからでもログインでき、複雑な建築プロジェクトの共同作業にも適している。
11月中旬に日本での販売・サポートを担うジェイドラフの本社(東京都新宿区)にユーザー約30人が招かれ、グレバート社が開発方針を語った。デスボード氏は「日本市場は新たなツールに対する関心も高く、安定したネット環境も整っているだけに、われわれにとって動向を見定める重要なマーケット」と期待を込めた。モバイルCADの行く末が日本市場で試される。
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