2017/01/20

【記者座談会】明るい幕開けの賀詞交歓会 「働き方改革」加速の1年に

A 連日、業界団体の賀詞交歓会が開かれているけれど、ことしの雰囲気はどうだろうか。まずゼネコン関係は。
写真は1月18日に開かれた海外建設協会の新年懇談会。国土交通省や各国大使館の関係者なども多数出席した。

B 例年開催の東京プリンスホテルが改修工事中のため、グランドプリンスホテル新高輪に会場を移した建設業関係11団体の賀詞交歓会は、ことしも盛況だった。事務局は会場変更に伴って、「東京プリンスに行く人もいるのでは」と心配していたが、大きな混乱もなく多くの参加者でにぎわった。
C 日本建設業連合会の中村満義会長は、社会保険の加入徹底や建設キャリアアップシステムの構築など「担い手の確保・育成」「生産性向上」を主軸に建設業の健全で持続的な発展に向けて取り組む決意を改めて表明した。ほかの団体も同様だけど、来賓祝辞では、生産性革命前進のほか、「働き方改革」をキーワードに使うケースが目立つ。ことしは建設産業界で働き方改革の動きがさらに加速しそうだね。
D 設備業界の賀詞交歓会も雰囲気は明るい。ゼネコンほどではないにしても、会員各社の業績は好調で、今期は良い形で決算を締めくくれそうだ。
E 複数の団体幹部との間で話題に上ったのが、今秋から稼働するという建設キャリアアップシステム。はっきり言って、設備の人たちの理解は進んでいない。設備会社は、工事の発注形態によって元請けにもなるし、下請けにもなる。費用負担のあり方を含め、システム上の立ち位置がよく分からない。行政サイドはすぐにでも、業界への説明を始めるべきだ。
A 発注者でもある不動産業界は。
F 不動産協会など2団体、日本ビルヂング協会連合会など6団体の合同賀詞交歓は、それぞれホテルオークラ東京が会場だったが、どちらも人の多さに驚かされた。会場内を移動するのもままならないほどだった。
G 不動協の木村惠司理事長は、世界の都市間競争に触れ、東京の魅力向上を訴えた。一方、ビル協連の高木茂会長は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)への対応を呼び掛けた。いずれも今日的なテーマだ。
A 設計界や建設コンサルタント業界、建材メーカーの雰囲気は。
H 設計界では、業務報酬基準の見直しを求める声が高まっている。日本建築学会の中島正愛会長は建築3会新年交礼会で「建築業界が活況を呈しているいまこそ、将来に向けた施策に取り組む時だ」と強調していた。標準業務内容や標準業務量と、実際の業務実態とで乖離(かいり)があり、見直しは、未来の建築を支える若い人材を育むことができる環境づくりという観点からも重要だ。
I 設計者の果たす役割や領域が広がる中で、適正な業務報酬についての議論がより深まることを期待したいね。
J 建設コンサルタント業界は、継続・安定した事業量による経営状況の改善を反映して、参加者の表情も一様に明るく活況だった。建設コンサルタンツ協会の長谷川伸一会長は会員数が増えたことを報告し、担い手の確保・育成では「課題を一つひとつ解決し、経営基盤、足元を固めていきたい」と力を込めた。
K 建材メーカーの賀詞交歓会では、時代の変化の波をとらえようとする勢いを感じた。例えば、軽金属4団体は、アルミをインフラ更新の素材として提案する方向性を打ち出している。メーカーにとって新しい建材を売り込める巨大市場といえる。
A 昨年に続き明るい幕開けになったので、課題を一つずつ克服してこの勢いが継続するようにしないといけない。
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