2017/01/20

【ホール・劇場問題】アクセスビリティー・目的特化の施設の必要性指摘 東京芸術文化評議会


 東京都は19日、都庁第一本庁舎で第22回東京芸術文化評議会を開いた=写真。閉鎖や改修でホールや劇場などの不足が懸念される問題に対して、ホール・劇場等問題調査部会が検討状況を報告し、「今後、ホール・劇場、スタジアム・アリーナの建て替えや新設が予定され、規模や使用用途によっては供給増も見込まれる一方、高度成長期に建てられた施設の老朽化への対応が課題」などといったこの間の議論を紹介した。

 首都圏の主なホール・劇場の閉鎖状況を見ると、過去10年間に東京厚生年金会館、ゆうぽうとホール、渋谷公会堂、中野サンプラザなど交通至便で、収益性の高い2000席規模のホールが閉鎖され、代替になる施設が不足。このため、バレエ・オペラなどの興業者は問題意識を強めている。
 一方、スタジアム・アリーナは、2020年までの間、新国立競技場、国立代々木体育館、日本武道館など施設の建て替えや改修が続くものの、20年以降は有明アリーナの新設などにより、大規模施設の座席供給は充足する予定となっている。
 この状況を踏まえ、調査部会は、中長期的な課題への対応策として、ホールなどの建設・改修などを指摘した。
 議員からは「高齢化社会により、都心の施設よりも、近くの区民ホールなどがかつてない活況を呈しており、そのアクセスビリティーの向上が求められている」(沖道郁代ピアニスト)、「あまりにも多目的につくりすぎて使いづらくなっており、専用の何かに特化したホール・劇場が必要」(秋元康作詞家・プロデューサー)などといった意見が出た。
 小池百合子知事は「(各議員の意見は)大変参考になる。誰もが来たくなる、行きたくなる施設が求められており、できることはしっかり実践していきたい」と述べた。
 検討結果は、これまでの議論にホール・劇場などの改修、建て替え、新設の動向、実演芸術に対する都民ニーズなどに関する調査の分析内容を加え、「ホール・劇場等施設のあり方」として取りまとめ、16年度末に公表する。
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