2017/01/21

【血圧上昇リスク】断熱改修で室温上昇・血圧低下を確認 サステナブル建築協が中間報告


 日本サステナブル建築協会は、国土交通省の支援を受けて2014年から実施している「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査」の中間報告をまとめた。住宅の断熱が居住者の健康に与える影響を検証するもの。断熱改修の前後で居住者の血圧や生活習慣、身体活動量など健康への影響を比較することで、住宅室内環境と血圧などの健康関連事象の関連を確認した。

 調査は断熱改修を予定する約1800件の住宅と居住者360人を対象に、改修の前後で血圧や生活習慣、身体活動量など健康への影響を検証する。事業期間は14年度から17年度の4年間。中間報告では、15年度までに得られた改修前調査2759人、改修後調査165人のデータに基づき検証を実施、得られつつある4つの知見を示した。
 中間報告では、断熱改修前後の室温と血圧の変化について、改修後の室温上昇量が大きいほど血圧低下量も大きいことを確認した。断熱改修後の室温は平均3.3度の上昇となったが、平均1.6度低下した例もあるため、暖房の適切な使用を呼び掛けることも大切だとした。
 室温低下による血圧上昇については、高齢者ほど血圧の上昇が大きいことを確認した。特に60代以上は、室温が10度下がった時の血圧上昇量が急激に増加するため、室温が低くならないように注意する必要があるとした。
 また、入浴事故と室温の関連に関する調査では、居間または脱衣所の平均室温が18度未満の住宅では、入浴事故のリスクが高まるとされる42度以上の入浴や15分以上の入浴をする人が多いという結果となった。14年には、家庭の浴槽での溺死者数が4866人(65歳以上が約9割)となり、交通事故死数(4113人)を上回っていることから、「湯温41度以下で10分未満に浴槽から上がる」ことを推奨しているが、居間や脱衣所の平均気温が18度未満となる住宅では、入浴事故のリスクが高い入浴をする確率が、1.8倍高くなることがわかった。
 30日には、JA共済ビルで中間報告会を開催する。定員は300人で参加費は無料(登録制)。時間は午後1時30分から午後4時30分まで。詳細と申し込み方法は同協会ホームページで確認できる。
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