日本建設業連合会の建築生産委員会施工部会(木谷宗一部会長)は12日、東京都港区の建築会館ホールで現場マネジメント力の水平展開を目的とした「作業所長による生産性向上に関する講演会」を開いた。選りすぐりの“カリスマ所長”4氏が豊富な経験と実績から培ったノウハウに対する関心は高く、会場は“最適解”を求める約170人の参加者で埋め尽くされた。「放任と統制」「信頼と粋の精神」「働きたくなる環境づくり」「自分で考える癖」など、所長が繰り出すキーワードから、参加者は多くのヒントを得たようだ。
講演会は、作業所長を志す会員各社の中堅・若手社員に生産性向上や魅力ある職場づくりに向けたマネジメント力を水平展開する目的で初開催した。
中野達男氏(竹中工務店) |
先頭バッターとして講演した竹中工務店大阪本店の中野達男本店長席総括作業所長は、「ハードはあくまで道具(アイテム)であり、それを使い切る頭脳(ソフト)が大事」と強調した上で、常に諦めずに考える姿勢が生産性向上に不可欠とした。人材育成では、「放任と統制」のバランスを重要視。「職人を大事にして教育し、うまく使うという原則を守れば作業所運営が大きく逸れることはない」と持論を展開した。
竹中秀文氏(大林組) |
大林組の竹中秀文理事建築本部本部長室部長は、作業員を主役に公平・平等を原則に「信頼と粋の精神」を現場に広め、「職員、作業員の潜在能力を引き出す」ことが生産性向上のキーポイントになると説明した。「一見効率が悪いと思われがちな手書きでの書類修正が技術習得、伝承の近道」と人材育成の秘訣を披露した。参加者からの時短に対する質問に対しては、「時間軸をもって仕事をすることが重要。建設業が活気を帯びているこの時期に何とか休日取得促進のアクションを起こしていきたい」と答えた。
木村匡氏(戸田建設) |
日建連の「第1回けんせつ小町活躍推進表彰」で最優秀賞を受賞した戸田建設関東支店の木村匡建築工事部工事長は、生産性向上の取り組みとして「働きたい、働きたくなる環境づくり 」を強調した。各作業担当に正・副の担当者を付けて相互補完し、不測の事態に備える体制の構築により、時間外労働を大幅に縮減した事例などを紹介した。一方で、「 時短に取り組まなければいけないが、価値観を創造するための時間確保も必要だ」との考えも示した。人材育成については、「常に疑問を持ち、解決していく習慣をつけるため、あえて質問攻めにしている」という。
小林祥二氏(大成建設) |
講演会は、日建連の広報誌『ACe』で企画した座談会をきっかけに開催。木谷部会長は閉会に当たり「継続は力なりということで来年もこういった機会を設けたい」と継続的な開催に意欲を示した。
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