前川國男が手掛けた建築作品を観光資源に活用しようと、青森県弘前市など全国の8自治体が「近代建築ツーリズムネットワーク」(会長・葛西憲之弘前市長)を設立した。自治体同士で連携し、前川作品を含む近代建築の観光資源化の促進を図る。2016年度は前川作品の現状を確認しつつ、活用に向けて具体策を検討するほか、17年2月には関東圏でキックオフイベントとなる講演会を開催する予定だ。17年度は同作品の利活用方針を策定し、情報発信などを行っていく。
写真は弘前市民会館(弘前市ウェブサイトより)
同ネットワークは、フランスの建築家ル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館(東京都台東区)など7カ国17作品が7月に世界遺産に登録が決定したことを踏まえ、コルビュジエに師事していた前川の代表作品が数多く残されている弘前市が、前川作品にも脚光を当てようと、関係する自治体に呼び掛けて立ち上げた。ネットワークは、弘前市のほか、東京都と埼玉、神奈川、岡山、熊本の4県、新潟、福岡の両市で構成する。
自治体はそれぞれ前川作品の完成時期や構造、面積などの基礎データをまとめるとともに、認知度に関するアンケートを実施し、PRに向けたパンフレットなどを作製する考えだ。また、「前川國男の建物を大切にする会」(弘前市)などの民間団体とも協力して積極的に近代建築の魅力を発信していく。
木村産業研究所 (弘前市ウェブサイトより) |
前川氏は1905年に新潟市に生まれる。28年に東京帝国大卒業後、フランスでコルビュジエのアトリエで学んでいる。帰国後は、レーモンド建築設計事務所を経て、35年に前川國男建築設計事務所を設立した。日本建築家協会(JIA)会長なども務めている。代表作は、木村産業研究所(青森県弘前市)や東京文化会館(東京都台東区)など。
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