2016/11/24

【日建連東北】WLB両立に待機児童解消・フレックス・在宅勤務の検討を けんせつ小町フォーラム


 日本建設業連合会東北支部の「けんせつ小町小委員会」(委員長・渋川智熊谷組常務執行役員東北支店長)は21日、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で第2回フォーラムを開いた=写真。ゼネコンで技術者として働く女性6人が、自らの体験談を交えながら現状課題を説明するとともに、今後の女性活躍推進に向けた提案を行った。

 フォーラムには、日建連会員企業の女性技術者ら約60人が出席。子ども連れで参加した女性もいた。冒頭、あいさつに立った渋川委員長は「建設業界では女性活躍推進の機運が高まっているが、他産業に比べると、まだまだ遅れている部分が多い。改革を先導している皆さんの力をお借りしたい」と語った。
 この後のパネルディスカッションでは、西條暁子さん(熊谷組東北支店土木部担当課長)がコーディネーターを務め、神田きよえさん(大林組東北支店建築工事部技術課主任)と安形早織さん(鹿島横浜支店土木部技術設計グループ)、黒嶋敦子さん(熊谷組首都圏支店建築事業部購買部担当課長)、菊地美恵さん(清水建設東北支店見積部)、中野美緒さん(戸田建設東北支店土木工事部)の5人が「家庭と仕事の両立」をテーマに討論した。
 社歴22年の神田さんは「産休明けにCAD研修会の講師を務めることになったが、マニュアルづくりなど、誰に助けを求めて良いか分からなくて悩んだ。子どもが熱を出しても研修会を休めないというプレッシャーの中で、家族の協力を得ながらやりきることができた」と体験談を語った。また、大林組の支援制度を紹介し「妊産婦の健康管理や、24時間いつでも電話できる健康相談が非常にありがたかった」と述べた。
 安形さんは「出産後、現場に復帰したが、子どもが熱を出すたびに迎えにいくことや、朝礼に出られないことで周りに迷惑を掛けた」と振り返るとともに「保育園に子どもが入れないことが課題。女性活躍推進には保育園を増やすことが重要だ」と強調した。
 現場代理人の経験がある黒嶋さんは「自分の行動が会社の評価につながるので、当時30代前半だった自分にとっては苦しくも良い経験になった。自分と同じように若いうちに成長するチャンスを与えてほしい」と述べた。現在、ダイバーシティ業務も兼任していることもあり「長時間労働を見直し、男性社員も育児や介護で急な休みを取得できる企業風土づくりを進めるべきだ」と提言した。
 菊地さんは、清水建設の家庭両立支援制度を紹介し「特にことし3月から実施しているフレックス制度は、子どもが小学校3年生まで勤務時間を曜日単位で選択できる。また、出産・育児で退職した女性社員が5年以内なら復職できる制度もありがたい」と話した。その上で「会社に支援制度があっても存在すら知らない人や、休暇の取得は無理と考える人も多い。ぜひ、自分から声を上げてほしい」と建設業で働く女性技術者にエールを送った。
 5歳と1歳の子どもを持つ中野さんは「子どもがインフルエンザなどになると1週間、仕事を休まないといけない。在宅勤務できる制度があればありがたい」とし、さらに「土木の現場は郊外が多い。現場の近くに託児所があれば、そこで働く女性みんなが助かる」と提案した。
 最後に西條さんは「女性には結婚や出産など、さまざまなライフイベントがあるが、個々人で状況は異なる。経験者の意見を聞くことで課題解決の糸口が見つかることもある。このフォーラムがその1つになればありがたい」と締めくくった。
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