2016/11/12

【ケミトックス】現地の太陽電池モジュールを性能測定! 空調備えた「移動式PVラボ」


 全国各地に太陽光発電が建設され早5年、その太陽光電池の取り替えニーズも増えてきた。太陽光電池の安全評価や性能試験業務などを手掛けるケミトックス(東京都大田区、中山紘一代表)は、太陽光発電の現場で高精度な性能測定を可能にする「移動式PV(フォトボルタイク)ラボ」を開発した。これまでのフィールド試験では困難だった試験所と同等の環境下での測定を実現する。測定時間も短時間で済むため、発電ロスを最小限に抑えることが可能だ。坂本清彦副社長は「現場でタイムリーに高精度の測定データを提供できる」と力を込めた。

 通常、太陽電池モジュールのラベルやカタログには、STC(標準試験状態)下でモジュールの電流値と電圧値を測定し、データ解析により得られた公称最大出力値が記載されている。モジュールの特性を測定する際の基準となるSTCは、25度のセル温度、基準太陽光と近似した分光分布、1㎡当たり1000ワットの放射照度の3項目が満たされていなければならない。
 これまで屋外で最大出力を測定する場合、モジュール温度はほぼ25度以上のため温度係数による換算が必要だったほか、放射照度の不足や日射角度の変動など、不確定な要素に大きく変動されるため、高精度に最大値を測定するのが難しかった。
 設置済みモジュールの最大出力をSTC下で測定するためには、モジュールを試験所に送る必要があるが、再設置まで2週間ほどかかり、その間の発電ロスがあった。さらに輸送中にモジュールが破損するリスクも懸念されていた。

車内の測定台でモジュール1枚ごとに性能を評価

 移動式PVラボは、車両に試験所と同等の設備が搭載されているため、全国各地の太陽光発電現場での測定を可能にする。中型トラックの利点を生かし、山奥の発電所にも乗り入れが可能だ。車内に発電機が搭載され、検査に必要な電気はすべて自給できる。
 最大の特徴は車両に搭載したモジュール温度を25度にする強力な空調設備と高性能ソーラーシミュレーターだ。ソーラーシミュレーターは太陽光との波長を比較したスペクトル合致度、有効照射範囲内の照度のむら、光の時間変動率の各項目で最高評価に分類される性能を有しており、坂本副社長は「最高評価の光源とSTC環境を整えたフィールド試験装置は世界に類を見ない」と自信を口にする。
 測定は架台から取り外したモジュールを20枚1サイクルで実施する。車内の専用スペースにモジュールをセットし、約1時間でモジュール温度を25度まで下げる。その後、各モジュールを測定台に格納し、STC環境を満たした条件で最高出力を測定できる。モジュールに電流を流して発光させ、特殊カメラで撮影した写真を基に、外観では判断できない微少な傷や劣化などの不具合を発見できるEL(エレクトロ・ルミネッセンス)検査も実施できる。測定が1サイクル約2時間で完了するのも移動式PVラボの強みだ。
 移動式PVラボで展開するサービスの1つは、モジュールを設置する際の受け入れ検査だ。これまでは試験用サンプルの性能のみを検査するケースが多かったが、実際に設置されるモジュールの高精度な測定が可能となることで、初期不良や不具合を早期に発見できる。「モジュールの出力の初期値が基準値に満たなければ気づかない間に継続的に大きな損をしてしまう」(坂本副社長)ため、現地測定の強みを生かしてサービス展開を図る。
 既にEPC(設計・調達・建設)事業者などからの引き合いも多く、17年からは全国各地を地方ごとに巡回し、サービスを提供する。初年度は月に4-5件、年間60件の受注を目指す。
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