2017/02/02

【八ッ場ダム〈上〉】24時間体制で稼働のダムサイト コンクリート打設が最盛期


 関東地方整備局が群馬県長野原町で進める八ッ場ダム本体建設工事が本格化している。本体工事と関連整備事業の2回に分けて現在の状況を紹介する。本体工事は現在、ダムサイトが24時間体制で稼働している。2016、17年度がコンクリート打設の最盛期となり、18年度末には堤体がほぼできあがる予定だ。19年度の全体完成を目指す。本体工事(第1期)は清水建設・鉄建建設・IHIインフラシステムJVが18年10月1日までの工期で施工している。写真は河床のコンクリート打設現場

 同ダムは利根川水系吾妻川中流に設ける重力式コンクリートダム。堤高116m、堤頂長290.8m、提体積約100万m3、総貯水量1億0750万m3、流域面積711.4km2。1期工事は堤高116m中101mまで完成させる。

右岸天端から左岸や河床を望む

 15年1月から本体左岸で始まった発破による掘削は既に完了。コンクリート打設は16年6月に始まり、河床から8m前後の高さを打設中だ。冬季のため現在は有スランプコンクリートを使用。ダム本体左岸天端に設けた製造設備で練ったコンクリートは、天端両岸をつないだケーブルクレーンでトラックに降ろす。トラックが打設位置で流し込み、バイブレーター付きバックホウ(バイバック)で締め固めている。4月からはSP-TOM(コンクリート運搬設備)を使いながら巡航RCD工法で高速施工する予定だ。
 吾妻川右岸の骨材プラントからコンクリート製造設備まで骨材を運ぶベルトコンベヤーは、一部を旧JR吾妻線の上に設けるなど既存施設を活用している。運搬能力は1時間当たり約800t。

旧JR吾妻線の上にベルトコンベヤーを設置した(中央)。
その奥を国道145号が通る

 堤高116mのうち上部の15mなどを施工する本体2期工事は17年度にも同JVと契約する見通しだ。
 17年で開所50年目となる八ッ場ダム工事事務所の塩谷浩事業計画課長は「施工量や規模が膨大なため計画的に取り組み、品質を確保しながら19年度の完成を目指したい」と力を込める。
 受注業者側のスタッフは平均約300人が作業中。帰省先は北海道から沖縄まであり、故郷の土産を持ち寄る新年会が恒例となっている。
 県がダムに設置する発電所の土木工事は清水建設・池原工業・都建設JVが落札済み。
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