2015/03/22

【現場の逸品】「全天候型現場」を実現する大型仮設テント『エアロシェルター』

「空気を抜いてしまえば、台車に乗せられるほどの大きさになってしまう」と、誇らしげに語るのは帝人フロンティア(大阪市)の東京繊維資材部キャンパス資材課に所属する井上誓吾さん。10年前から販売する超軽量大型仮設エアーテント『エアロシェルター』はレギュラーサイズで高さ4m、幅15m、奥行き11m。イベント会場や災害時の避難用テントとして使われるなど着実に販売件数を伸ばしている。「最近では建設工事でも活躍している」という隠れた現場の逸品だ。写真は常磐自動車道の橋梁工事。

 東京都と仙台市を結ぶ常磐自動車道で、3月1日に全面開通した常磐富岡IC~浪江IC間では、橋梁工事区間で大活躍した。事業主体の東日本高速道路会社は4つを購入し、開業イベントなどに使ってきたが、雨天時にもコンクリート打設作業ができるよう工事場所に設置する使い方をした。4つが連なるように使い、打設に沿って移動しながら4カ月にわたって全天候型の現場を実現した。あるゼネコンが4年前にコンクリート養生用に使って以来、建設工事現場に採用されるケースは増えつつある。

コンクリ打設に沿って移動しながら使う
エアロシェルターの素材には、高強力ポリエステル糸が使われ、そこに特殊ウレタン樹脂の薄膜がコーティングされている。パラグライダーやパラセールにも使われている強力な膜素材だ。しかも重さは1㎡当たり75グラムと軽量で、従来のルーフ用テント生地と比べると、10分の1程度。サイズはテント面積164㎡のレギュラーサイズに加え、109㎡、78㎡、35㎡の計4種類を取りそろえる。空気を抜き折りたためば最大でも1100mm四方で厚さ900mm。重さにして約80㎏となり、使わない時には台車に乗せて倉庫の隅に保管できることも魅力の1つだ。
 日本国内で製造しているため、破損した場合の修理も迅速に行われる。「宅急便で長野の工場に送ってもらえれば1週間ほどで返せる」とは井上さん。当日に設営し、当日に撤去できる手軽さも現場向きと話す。急な雨にも即座に対応できるスピーディーさも売りだ。作業空間を覆うことを前提にした場合、順次作業場所を移動する橋梁工事に大きな効果を発揮する。
 井上さんは「さまざまなニーズがあり、その使い方をどこまで提案できるかが勝負」と考えている。大手ゼネコンからは建築現場の上に置くような使い方を相談されたこともあり、新たな使われ方が登場する日も近そうだ。地方自治体がイベントや防災用に購入しているケースも多いだけに、保有自治体では建設工事現場に利用する可能性もある。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【ガデリウス】アタッチメント10種以上! Brokk社製の無人化施工ロボ5機種を販売  建設機械の輸入・販売などを手掛けるガデリウス・インダストリー(本社・東京都港区、ヨスタ・ティレフォーシュ社長)は、Brokk社(スウェーデン)製の無人化施工ロボットシリーズの取り扱いを始めた。遠隔操作によって作業の安全性が向上するほか、電動式のため環境にやさしい。スリーアームシステムの採用によりコンパクトながらも柔軟でパワフルな作業を実現し、施工の効率化にも貢献する。交換可能な10数種類のアタッチメントを用意しており、1台で多様な作業に… Read More
  • 【三菱電機】世界最速! 分速1230mのエレベーターを中国最高層の「上海中心大厦」に納入  三菱電機は、世界最高速となる分速1230mのエレベーター技術を開発、上海市にある中国最高層ビル「上海中心大厦」(632m)に納入する=写真。時速に換算すると73.8㎞となる。  巻上機モーターの出力を最大限に引き出す制御盤に加え、調速機やブレーキ装置、緩衝器など安全装置の開発によって、地下2階から地上119階の展望階まで、約53秒で到達する世界最高速を実現した。 同ビルは展望階行きエレベーターが3台あるが、このうち昇降路高さが確保できる… Read More
  • 【素材NOW】集中豪雨も1㎡当たり100リットル吸収! 超透水性舗装材「ナティア」  エクステリアのメーカーが、都市型水害の予防に貢献する新発想の商品を発表した。マチダコーポレーション(前橋市)の舗装用コンクリートブロック「ナティア」は、透水性舗装に求められる規格値の30倍の透水能力を持つ。降った雨は1㎡当たり100リットルまで路盤材に貯留し、徐々に地盤に浸透させることのできる「超透水性舗装材」だ。  「欧州では、自分の土地に降った雨は、自分の土地で吸収するべきだという考え方があり、ナティアのような舗装材が採用されている… Read More
  • 【ジェノバ】i-Con対応で電子基準点数を倍増! GNSSサービスの精度高める  衛星測量で利用するGNSS補正情報配信会社のジェノバ(本社・東京都千代田区、細谷素之社長)は26日から、国土交通省が進めるi-Construction(アイ・コンストラクション)への対応として、同社が提供するGNSS補正情報の配信に使う電子基準点数を倍増する。国の“アイ・コン”施策により今後、直轄工事ではICT(情報通信技術)土工が全面展開されるが、こうした工事で利用増加が見込まれるネットワーク型GNSSサービスの精度を高める。同社の細… Read More
  • 【竹中工務店】ホテル内で採れたてレタス! 葉物栽培施設の併設、安定供給可能に  竹中工務店は、ホテルや商業施設、医療福祉施設などに栽培施設を併設し、新鮮な野菜の安定供給と間近での食事を可能にする空間コンセプト「シェフズガーデン」を展開する。同社は、米国ハワイ州カウアイ島のリゾートホテル内に葉物野菜の栽培施設を設置し、栽培・運営管理を検証した結果、有効性を確認。それを基に国内での提案を進める。写真は「シェフズガーデン」のイメージ図  同社が所有、経営するリゾートホテル「グランドハイアット カウアイ リゾート&スパ」に… Read More

0 コメント :

コメントを投稿