2015/07/29

【音声ナビ】GPS届かない屋内も! スマホで視覚障がい者を誘導 清水建設とIBMが開発

清水建設と日本アイ・ビー・エムは、視覚障がい者向けに屋内外を問わず音声でナビゲーションするシステムを開発した。スマートフォンで位置情報などを受信するシステムだが、従来のシステムに比べて高精度に位置を把握でき、より詳細なナビゲーションを可能とする。歩行者を誘導するビーコンを施設に複数設置することで、GPS(全地球測位システム)信号が届かない屋内での利用を可能とした。外国人観光客向けのサービスや災害発生時の誘導といった活用方法も見込んでいる。早ければ2018年にも実用化する。

 新システムは、清水建設による空間情報データベースとIBMの視覚障害者向け技術を融合させた。耳をふさがない骨伝導ヘッドフォンを装着し、専用のアプリで目的地を設定すると、「手すりに沿って建物入口まで20m進みます」「残り2.5m」「入口手前にフロアマットがあります」といった詳細な情報を音声で提供する。音声対話も可能で、例えば「休憩したい」とスマホに呼び掛けると、近くのベンチなどを検索して最適なルートを案内してくれる。
 ナビゲーションの対象施設内には、複数の汎用ビーコンを設置する。清水建設の空間情報データベース、IBMの位置測定サーバーと音声対話サーバーがそれぞれ連係し、より高精度なナビゲーションを可能にした。屋内外で切れ目ない情報提供が可能で、歩行困難者には階段や段差を避けるルートを案内する。
 空間情報データベースには、建物の形状、段差や勾配、手すり、エレベーターといった基本的な情報に加え、フロアマットの位置など利用者に役立つ情報をあらかじめ入力しておく必要がある。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データの活用も検討している。
 清水建設は、技術研究所(東京都江東区)に常設の体験施設「親切にささやく場」を開設し、さまざまな人の協力を得ながら実証実験を進めていく。
 主に視覚障がい者向けに開発したが、さまざまな活用方法を見込んでいる。観光客向けの施設案内や災害時の誘導、買い物客向けにセール情報などを提供することも可能だ。実用化を急ぎ、大規模物販施設や医療・教育施設、空港・駅などへの展開を目指す。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【津波避難】球体シェルター“ノアの方舟"を開発 幼稚園など向け ポンド(本社・大分県別府市、星野隆代表)は、大人が16人乗れる地震津波避難用の大型球体シェルターの開発を進めている。2012年に大人4人乗りの小型シェルターを開発、好評なことから、これをベースに幼稚園や老人保健施設向けに大型化する。平常時はコミュニティールームや部品を別途設けることですべり台としても活用が可能。性能試験などを行い、1、2年程度で製品化につなげる。  素材はFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製。自動車部品の製造で蓄積してきた同… Read More
  • 【木造】福島の工場をロングスパン架構で建設 住友林業と大林組 住友林業は、福島県川内村でコドモエナジー(大阪市)による蓄光タイル工場の建設工事を設計・施工一括で受注した。木造軸組み工法で、ロングスパン架構を実現する大林組の「オメガウッド」を採用。16日に着工し、2014年5月の完成を目指す。基本計画と構造設計に大林組が参画している。  被災地での非住宅建築物の受注、木造工場の設計施工受注は、ともに住友林業にとって初めて。新工場は2階建て延べ1367㎡で、内部は幅約18m、奥行き約34mの無柱大空間を実現… Read More
  • 【111台】東芝エレベータがマカオで大型受注 東芝エレベータは、グローバル市場の事業を強化する。香港、シンガポール、マカオを中心に、中国本土や東南アジアの一部地域を担当する東芝エレベータのグループ会社シュバリエ香港社が、マカオで最大規模となる高級リゾートホテル「ギャラクシーマカオ・ホテルリゾート施設」の2期工事の昇降機計111台を一括で受注するなど、世界最大の昇降機市場である中国で高速エレベーター、高級機種の販売体制を強める。  受注したのは「ギャラクシーマカオ・ホテルリゾート施設」2期… Read More
  • 【デザイン】TOTOの「ネオレスト」便器と芸術家がコラボ TOTOは、ウォシュレット一体型便器「ネオレスト」の発売20周年を記念し、11月4日まで開かれている国内最大級のデザインイベント「TOKYO DESIGNERS WEEK」に出展。「ネオレスト」を素材に、トラフ建築設計事務所、橋田規子氏、野老(ところ)朝雄氏、ミヤケマイ氏とコラボレートした「NEOREST×4CREATORS」を展示している=写真。  展示とともに全体監修・空間構成を担当したトラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏は、空間構成のキーワ… Read More
  • 【復興支援】鹿島/がれき処理通じ地域貢献  鹿島は、宮城県石巻市で行っている災害廃棄物処理事業を通じて、事業当初から地域経済復興支援や地元住民の就業支援、働きやすい職場環境づくりなどさまざまな活動を展開している。  地域経済復興支援の1つが、石巻観光協会と鹿島・清水建設・西松建設・佐藤工業・飛島建設・竹中土木・若築建設・橋本店・遠藤興業JVが共同で開催している定期市「ひばりのご縁市」。石巻観光協会に加盟する地元被災企業や事業者に販売の機会を提供するのが目的で、ことし4月からこれまで… Read More

0 コメント :

コメントを投稿