2015/07/08

【働きかた】負傷の陸上ハードル選手が叩いた「アスリート採用」の門 深谷組・水村明日香さん

鳶・土工事などを専門とする深谷組(深谷和宏社長、さいたま市見沼区)に入社して3年目。総務人事部で安全書類などの作成や社内イベントの企画、広報活動などの仕事をしながら、陸上競技100mハードルの選手としてトレーニングに励んでいる。ことし5月の東日本実業団陸上競技大会は4位だった。結果には満足していない。「深谷組のユニフォームを着て日本選手権に出場し、そしてリオ五輪へ」と挑戦は続く。

 高校、大学で陸上競技部の主将を務め、ハードル専門の選手として全国的な大会で活躍。順風な競技生活の中で迎えた大学4年の春、日本選手権の直前に左足のアキレス腱を断裂し、実業団への話も立ち消え、将来の身の振り方を考えていた時期、大学の就職課で深谷組を紹介された。同社には入社後もスポーツ競技を続けられるよう支援する「アスリート採用」制度がある。光明を得た思いで門をたたいた。逆境をバネに頑張る意気込みに会社も心を打たれ、採用が決まった。
 「この制度がなかったら建設業とも出会っていなかった」。総務人事部に配属されたが、新人研修の際は建設機械にも乗り、足場も組んだ。ことしの研修は指導的立場となったが、離職率の高い建設業界だからこそ「続けてほしい」との思いが年々増している。
 同社は、現場の通勤・退社に所定の制服着用を促しているが「このような取り組みが、業界全体に広がってほしい」と願う。業界が課題に据える週休2日や女性の参画については、「プライベートが充実すれば仕事のパフォーマンス向上につながるし、女性が増えれば職場環境は改善されると思う」と、洗練された業界像を思い描く。
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