2015/07/28

【復興現場最前線】唐桑高田道路で進む気仙トンネル、340号函渠工、新気仙大橋工事

唐桑高田道路は、宮城県気仙沼市唐桑町舘の唐桑北インターチェンジ(IC)から岩手県陸前高田市竹駒町相川の陸前高田ICを結ぶ長さ10㎞の路線だ。県境をまたいで宮城県内区間が2㎞、岩手県内区間は8㎞。現在は用地取得とともに橋梁、トンネル、改良の各工事が並行して進められている。写真は順調に掘削が進む気仙トンネル。

◆気仙トンネル 施工=鉄建 昼夜作業で掘削、15年内貫通
 その主要構造物の1つとして、陸前高田市気仙町字荒川沢~同市矢作町大嶋部間に築造されているのが気仙トンネルだ。鉄建(浦本孝志所長)が施工を担当している。
 トンネルの長さは706m。掘削は昼夜交代作業により、気仙町側からの片押しで進めている。掘削は発破とNATMを併用。発破では地山が硬いためドリルジャンボを用いてさく孔している。掘削の進捗は1日平均4.8mで、これまでに半分を超える約370mを掘り上げた(7月7日現在)。
 順調にいけば、15年内に貫通する見通しだ。引き続きインバート、コンクリート覆工、坑門工などを行い、来春の本体完成を目指す。

◆340号函渠工 施工=飛島建設 高速支える巨大ボックス

340号函渠工
陸前高田市竹駒町の相川地区では、三陸沿岸道が国道340号上を通過するための函渠工が行われている。同地区では、2014年度に相川地区道路改良工事(施工=大和小田急建設)、竹駒地区構造物工事(同・淺沼組)が行われた。高い盛土と厚いボックスの荷重を受けるために必要な地盤改良の範囲が想定以上に広かったため、今年度は陸前高田道路工事を施工している飛島建設(武氣士郎所長)が、函渠工を引き継いだ。
 ボックスのボリュームは1200m3。高速道路を支える強度が必要とあって、ウイングが張り出したボックスを間近で見ると重厚で迫力がある。これが6つ連なる現場の様子は圧巻だ。
 地盤改良には撹拌性能が高く、土壌とセメントを均一に撹拌でき、ムラなく精度が高いといった特徴がある「エポコラム工法」を採用した。
 高い評価を受ける工法と確かな施工力の融合により工事は進捗し、8月下旬には函渠本体が完了。その後、排水、舗装、照明などの工事を経て15年内に完成する予定だ。

◆新気仙大橋 施工=横河ブリッジ クレーンベント工法を採用


新気仙大橋
気仙トンネルの北側に位置する新気仙大橋では、横河ブリッジ(大濱浩二所長)の施工で上部工事が進められている。橋長は438m、構造形式は鋼7径間連続非合成箱桁橋。架設工法はクレーンベント工法を採用している。
 鋼製の主桁は、1ブロック約10mの箱桁約100ブロックを同社の大阪工場で製作。これを宮城県の石巻港まで海上輸送し、ヤードに仮置きしたものを順次トレーラーで現場まで搬入する。
 現地では、下部工が14年度に終了し、P1からP6までの6つの橋脚と2つの橋台が完成。この橋脚と橋台の間には桁を支持するベントが組み立てられている。巨大なベントと橋脚が地上から林立し、川向うの山間部に達する光景は、見る者に土木構造物の美しさとスケールの大きさを感じさせる。
 23日には、橋桁の架設工事がスタート。最大で約48tもの重量に達する鋼桁は、550t吊りと300t吊りの大型クレーン2台を投入して吊り上げる。架設は今年内に終了する予定だが「高所作業のため先行ネットなど墜落災害に備えた事故防止に取り組む」(大濱所長)と、安全対策には万全を期す。
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