2015/07/22

【現場最前線】83tを11分で一括架設完了! 鉄建の東北本線安達駅東西自由通路工事

鉄建は19日未明、福島県二本松市にある東北本線の安達駅で東西自由通路の桁一括架設を実施した。台風11号の影響で時折り雨がぱらつく中、国内に数台しかない1200t吊りクレーンを使った大仕事は、予定していた28分のタイムスケジュールを大幅に下回る11分で無事完了した。多数の観衆が見守る中、始発電車通過までのわずかな時間で高精度に作業を完遂した同社の澤野正安達駅作業所長は「風もなく、予定より早く設置できて良かった。事前の練習やシミュレーションで課題を解消しておいた効果が出た」と安堵の表情を見せた。

 東西自由通路の一括架設は、東日本旅客鉄道(JR東日本)東北工事事務所発注の「東北本線安達駅本屋・東西自由通路新設他」の一部。架設後の作業に使う足場も含めて地組みした最大高さ4.6m、幅6m、長さ32m、重さ83tの桁を線路を挟んだ東西に新設する駅本屋の2階部分に一括架設する。
 準備作業は上り終電後の午前4時過ぎに開始。83tの桁を東側の本屋横へ移動させて下り電車の終電後まで吊ったまま待機し、作業を安全に進めるために電気を遮断する「き電停止」後に、線路上に架設する。

風速が一定基準を超えたり、終電の遅れによるき電停止の遅延、予定時間までに支承が仮設ストッパーにセットできない場合は、作業を中止して吊り下げた桁を元の位置に戻さなければならない。
予定のタイムスケジュールでは待機から架設完了までは午前4時50分から5時18分までの28分としていたが、実際には4時47分から同58分までのわずか11分で架設作業を完了させた。

予定時間を大幅に短縮して桁の設置が完了した
澤野所長は作業の前日に「どこかで手こずると桁を戻さなければならない。失敗は許されない」と緊張した面持ちで語っていたが、予定より大幅に短い時間での一括架設の完了を見届け、「今日はゆっくりと眠ることができる」と笑顔を見せた。桁設置後にワイヤーを円滑に外すための念入りな事前練習や、綿密なシミュレーションが本番で大きな力を発揮した。
 安達駅には現在、西側にだけ改札があり、東側へ行くためには踏切を迂回しなければならない。工事では東西に新たな駅本屋を設置し、自由通路でつなぐことで駅利用者や近隣住民の利便性を高める。
 12月の供用開始に向け澤野所長は、「きょうも多くのギャラリーが一括架設を見学に訪れており、工事に対する地元の期待も高い。あと4カ月、無事故で良いものをつくって期待に応えたい」と気を引き締めていた。
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