2015/07/21

【復興現場最前線】ドローンも活用! 早期完成・耐久性向上に創意工夫 三陸沿岸道路・唐丹第1、第2高架橋

震災復興のリーディングプロジェクトとして、東北地方整備局が異例のスピード感をもって整備を進めている三陸沿岸道路。事業着手から5年目を迎え、多くの工事で主要構造物の姿が目に見えるようになってきた。このうち、南三陸国道事務所(佐藤和徳所長)管内で行われている主な工事現場を紹介する。写真は唐丹第1高架橋上部工。ドローンが飛行している。

 釜石唐丹インターチェンジ(IC)と釜石南IC間にある3つのトンネルと2つの高架橋すべての構造物を構築する「国道45号吉浜釜石道路工事」は、請負金額が100億円を超える大ロット工事がひしめく三陸沿岸道路の中でも屈指の大規模工事だ。施工を担当するのは大林組・富士ピー・エスJV(松野徹所長)。
 このうち、今回訪れたのは唐丹第1・同第2の高架橋の2現場。概要は、第1が橋長306m、フーチングからの高さが36m。第2は橋長352m、同じく高さが45m。2つの高架橋は、区間最長の荒川トンネル(1169m)を挟んで築造する。
 進捗状況をみると、第1は3基の橋脚がすべて出来上がり、橋脚ごとに上部工事が始まっている。一方の第2は、橋脚5基のうち、最も大船渡市寄りのPI橋脚で上部工が施工されているほか、他の4橋脚でもコンクリート打設が進められている。
 この上部工で採用されているのが張出架設工法だ。橋脚を起点とし、移動作業車(ワーゲン)を使って左右のバランスをとりながら1ブロックずつ桁を延ばしていく。桁下空間を自由に使えるため、支間の長い橋の施工に適しているほか、屋根があるため気象条件に左右されにくいなどのメリットがある。現在は第1高架橋の3つの橋脚と、第2高架橋のP1橋脚で同工法による上部工が進められている。

また、主桁の上床版や地覆・壁高欄の鉄筋をエポキシ樹脂塗装鉄筋に変更したほか、PCケーブルの外ケーブルをマルチエポキシケーブル、内ケーブルをエポキシ樹脂被覆ケーブルにそれぞれ変更し、耐久性の向上を図っている。
 さらに下部工でも、型枠工の不足に対応し、1日で300-400m3のコンクリートを一気に打設でき、かつ密実なコンクリート打設が可能なCF(キャンパーフォーム)工法を採用するなど、上部・下部工事とも、早期完成に向けて施工の効率化を図るとともに、耐久性の向上にも最大限努めている。
 加えて、広範な現場で効率的に出来形を管理するため、近在で区画整理事業などを行う大林組の他現場と兼用でドローン(小型無人飛行機)を活用するなど、創意工夫は枚挙にいとまがない。
 橋梁工事の進捗率は約20%(7月6日現在)。トンネル工事は、唐丹第1トンネル(465m)が、3つのトンネルで初めての貫通を迎えたほか、最長の荒川トンネルも2015年度内の貫通に向けて順調に掘削が進んでおり、工事全体の進捗率は40%(同)に達した。
 「当初は工事の規模に不安も感じたが、ようやく先が見えてきた。1日も早く供用できるよう、地域とともに進めていきたい」と語る松野所長。吉浜釜石道路の18年度内開通へ発注者、そして地域と一丸となって取り組む構えだ。
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