2015/07/11

【デザイン】窯業の町・常滑のまちづくり提案 大岡山建築賞受賞の河合杏奈さん(東工大)

愛知県常滑市は900年以上続く窯業の町だが、産業衰退とともに特徴的で魅力的な町並みが消えつつある。デザインから町並みを守れないか、と考えたのは東京工業大学の河合杏奈さん。TIT建築設計教育研究会の2014年度大岡山建築賞を受賞した「道 屋根の連なりが築く常滑の町」は、町の様相を支える生活の構造を継続させる、共同の窯屋の計画だ。切妻造が連なり、製陶所や古い窯屋を活用した店を貫くやきもの散歩道が町と人をつなぐ光景を作り出す。

 河合さんは「窯業が廃れていくという話を基に、デザインした図面を現地に持って行った。長年、常滑に住む工場オーナーも近隣の開発に協力する一方で、本音は町並みが失われることにさみしさを感じていた」という。住まう人々との対話を大切にし、何度も足を運んでつくったのが今回の計画だ。

同大の安田幸一教授、奥山信一教授、塚本由晴教授らが審査に当たった。表彰式の後の懇親会では審査員からさまざまな立ち位置からおもしろい空間や隙間があることが想起されるといったコメントが上がった。同会顧問の日置滋清水建設常任顧問は「設計者の思いが強すぎると社会は良いとは言わない。社会良し、顧客良し、設計者良しの三方良しでバランスをとってほしい」と総括した。
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