大成建設は、女性活躍推進に向けた取り組みの一環として、すべての総合職と専任職を対象とした「女性社員セルフキャリアパス研修」を始めた。研修は、ロールモデルの不在により将来像が描きにくい女性社員の支援が目的。セルフキャリアパス設計・実行シートを使い、自らの将来像をより具体的に描き、先輩から直に助言を受けることで、目標達成に必要な手段をより明確化する。同社人材研修センター(横浜市)で2日に開かれた初の研修には、2007、08年入社の女性社員50人が参加し、目指すべきゴールまでの道筋を再確認した。次年度以降も入社後5年目以降の社員を対象に研修を継続する。
2日の研修には、全国から建築、土木、事務の総合職、専任職が参加。管理本部人事部人材いきいき推進室の塩入徹弥室長は、「女性の活躍を推進するためには女性管理職を育てていく必要がある。制度が充実し、結婚や出産を機に退職する女性社員は減っているが、ロールモデルが身近にいないため、キャリアパスを描きにくいという面での不安を取り除くために研修を実施することにした」と説明した。
各自が日々実行すべき習慣と研修の感想を発表 |
講師に21世紀職業財団の加地照子特任講師を招き、前半は入社後の自らの歩みを振り返りながら、コンピテンシー(基本スキル)の視点から自身の弱みや強みを確認した上で、課題を仲間と共有して改善策を討議した。
後半は、前半に確認した課題などを踏まえ、セルフキャリアパス設計・実行シートに自らの将来像を落とし込む作業に着手。シートには配偶者や子ども、親族の動向などのプライベートも織り交ぜて、仕事での目標やそれを実現するために必要な能力、手段などを時系列に書き込む。40代や50代になった時のあるべき自分像と周辺環境を関連付けて確認することで、目標達成に向けて実行すべき事柄がより明確につかめる。
でき上がったシートは、先輩管理職との個別面談に活用。目標達成のために何が必要になるのかといった適切なアドバイスを踏まえてシートを修正し、より現実味のあるシナリオに仕上げる。
先輩管理職との個別面談で目標達成に向けた手段をより明確にする |
研修に参加した宮坂知子さん(事務)は、「漠然と働いてきたが、プライベートも含めた10年後、20年後のより現実味のある自分像が描けた。アドバイスを受け、自分にもできるかもしれないという自信が持てた」と研修の成果を実感。また、松村綾子さん(土木)は、「どういったキャリアを積んでいくかを頭の中では考えていたが、具体的にイメージすることができ、今やるべきことがはっきりと見えてきた」と、なりたい自分の輪郭をとらえることができたようだ。張若平さん(建築)は、「同期と久々に会って、みんな(会社に)残っていることがうれしかった。悩みを共有することでモチベーションも上がった。みんなで会社を引っ張っていきたい」と意気込みを見せた。
アドバイス役も務めた塩入室長は、「明確に将来像をイメージできている社員がいる一方、女性管理職が少ないので、遠慮がちに書いている者もいた」と面談の感想を語った。
面談後は「目標を描くことで、それまでにどうすればいいのかが具体的に分かった」「ビジョンを持ち、それを実行することが大切だということを学んだ」など、全員が研修の感想を発表し、それぞれのゴールに向けて新たなスタートを切った。
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