国土交通省土地・建設産業局の木村よし子建設業課課長補佐は、群馬県が開いた女性活躍推進に関するフォーラムの基調講演で「仕事と育児の両立の問題で経営者側、女性側にも壁があり、せめぎ合う形になっている」とし、「こうした課題に対応するためにも企業、現場ごとの地に足の付いた取り組みが今後の大きな課題になる」と強調した。
5年以内に女性倍増を目指す建設業行動計画により機運は高まっているとする一方、12月に実施した実態調査の結果から「いまだ女性活躍推進の取り組みを行う予定のない企業が3割以上ある」と指摘した。こうした企業の経営者に根強い「『雇用してもどうせやめてしまう』といった意識を少しずつ改善する取り組みも大事」との見方を示した。
さらに「ある地方で、女性を現場に配置する企業には仕事を出さない元請けなどがいる話を聞いたことがある。現場に出られないことで男性と現場力に差が出ることを悩んでいる女性もいる」と、男性社会と言われる建設業の現場に女性活用を浸透させる難しさも述べた。
その上で、女性活躍を推進するための焦点の1つに「育児との両立」を挙げ、「経営者側にとってはフォローする人員の配置など戦略的な問題が絡むが、まず当事者意識を持って女性の声に耳を傾けることが大事。意識を共有できなければ、育てても会社を辞めてしまうという悪循環に陥る」と経営者の柔軟な対応に期待を込めた。
群馬県の産学官の女性技術者らで組織した職場環境改善策提案ワークショップ(WS)の取り組みに触れ、「多様な人が集まり課題を共有する意義や女性活躍推進の取り組みが地域によって格差がある現状を踏まえれば、WSは大変有用だ」と評価した。この後、WSメンバーらとパネルディスカッションなどを実施した。今回のフォーラムは群馬県建設業協会と同測量設計業協会が共催した。
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