2016/08/05

【清水建設】都市で生き物と暮らす ビオトープ「再生の杜」の10年、生息環境の形成を確認


 清水建設が2006年に東京都江東区の同社技術研究所内に建設した都市型大規模ビオトープ「再生の杜」は、生物生息環境の形成に着実に貢献している。同社では10年間にわたり生物相や植生環境をモニタリングし、ビオトープが生物多様性を高めていることを確認した。今後、再生の杜で培ったビオトープ建設技術や維持管理のノウハウを生かし、都市部の案件で生物多様性に配慮した建設計画を提案していく。

 再生の杜は、都市部の生物多様性向上の可能性を実証するため建設された。建設には現場発生土を使って造成し、その上に建設現場の表土を再利用して20-50cmの厚さに盛った。規模は1940㎡で、そのうち、水辺域は650㎡。樹木40科106種類、草本43科94種類の計200種の在来植物を植栽した。水辺域には絶滅危惧種のミナミメダカを含む魚類7種を放流した。
 モニタリングの結果、植物はタヌキマメ、トチカガミ、タヌキモなど地域の絶滅危惧種を含め296種類まで増加したことを確認した。当初、3-4mだったクヌギも12mまで成長し、他の落葉樹や常緑樹とともに豊かな樹林を形成している。
 魚類はミナミメダカなど4種が増加し、全体数は放流時の2.5倍となった。昆虫は建設当初から確認されていた約160種程度の生息を維持。鳥類は、サギ類やカルガモ、カワセミなど13-16種類が飛来し、採餌場や休憩場として継続的に利用されている。特にカルガモはビオトープを産卵の場としており来館者の注目を集めている。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿