2016/08/28

【オーサカ建築】第4回 市民に根付く「生きた建築ミュージアムフェスティバル」


 多様な建築を体感できる機会が多いのも大阪の魅力の1つである。「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(*1)」=写真=は、歴史的な建築物から現代建築までを公開し、建築の魅力を知ってもらうことを目的として、2013年度から大阪市の事業として始まった他都市では例を見ない取り組みだ。公開する建築物や参加人数は年々着実に増え続け、市民に根付いたイベントになりつつある。

 「生きた建築」とは、各時代の歴史や文化、市民の暮らしぶりといった都市の営みの証が変化・発展しながら、いまも生き生きとその魅力を伝える建築物のこと。文化財として評価されない外壁保存なども積極的に取り上げるようにしている。時代を経て変化を重ねてきた地層こそが生きている都市の厚みであり、面白さでもある。
 一つひとつの建築物はもちろん、こういった市民の建築文化を育む取り組みも大阪の建築の大きな魅力といえるだろう。JIA全国大会で他府県から来られる方には、市民の手でつくられ、所有者の思いが詰まったオンリーワンが普通に軒を連ね、それに触れ合える機会が多い大阪の建築をぜひ体感してほしい。 (おわり)

 *1 生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(通称・イケフェス大阪)=建築を入り口として自分のまちに関心を持ってもらい、シビックプライド(都市に対する市民の誇り)を醸成することで大阪の都市再生につなげるのが目的。ことしからは民間企業を中心とする実行委員会が主体となって、11月5、6日に開催する。

 日本建築家協会(JIA)建築家大会2016大阪:大阪市中央公会堂をメーン会場に10月27-29日にかけて開催。連続シンポジウムや見学会、セミナー、建築CAFEなどを通じて「笑い」が支えてきた商都大阪の受け継がれてきた文化の歴史物語に改めて目を向け、「繋がる」「繋いでいく」ことの大切さを再認識し、これからのまちのありようを考える。問い合わせはJIA近畿支部・電話06-6229-3371。
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