2016/08/05

【記者座談会】小池都政がスタート 2020年東京五輪に向け新知事の舵取りは

A 東京都知事選で圧勝した小池百合子氏が2日に初登庁したね。
B 初登庁時の段取りがぎりぎりまで決まらず、スケジュールが発表されたのは前日の夕方だった。当日は取材場所の位置取りで早朝からマスコミが詰め掛け、久しぶりに都庁が活気に満ちていた。

C 都知事20代目にして初の女性首長が誕生した。元都知事が揶揄(やゆ)していたようだが、実際に初登庁した姿を見ると、華やかの一言。2020年東京五輪に向けた今後のイベントを考えると、男性に比べて確実に見栄えはいいだろう。
D ただ、自民党東京都連とのわだかまりは後を引いており、都議会へのあいさつ回りでは、都議会自民党の対応は素っ気ないものだった。今後の小池都政が危ぶまれるが、お互いに意地を張らず、都民のために働いてほしい。
A 具体的な今後の都政の方向性は。
B 舛添要一前知事の公私混同問題の影響が残っているため、小池新知事は「都民ファースト」を掲げ、徹底した情報公開を進めていく考えだ。選挙戦で掲げた「東京大改革」を実現するため、知事の私的懇談会という位置付けで「都政改革本部」を設置、その下に「情報公開調査チーム」「オリンピック・パラリンピック調査チーム」を置き、既得権益にとらわれない外部の委員を交えながら調査・検証していくという。
A 情報公開チームは、情報公開の徹底に向けた取り組みと理解できるが、オリ・パラ調査チームの役割はどうなの。
B 東京都と関連省庁の責任分担体制を明確化するのが狙いのようだ。小池新知事が懸念を示したのが、膨れ上がっているコストの問題で、「都が負担するオリンピック・パラリンピックの予算、すなわちオリンピック・パラリンピック全体の予算が小さくなれば、分担にもよるが、その部分が縮減される可能性もある」との見解を示した。
C 今回の内閣改造で、五輪担当相に丸川珠代氏が就任したが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長、小池新都知事の間で三すくみ状態に陥らなければよいがと思っている。彼らの下で働く職員が板挟みになる可能性もあり、20年東京五輪の成功に向けて、過去の因縁は捨てて協力して取り組んでほしい。
D オリ・パラ調査チームでは、入札もチェック項目に上がっている。新設する大規模な五輪関連施設の発注は残り少ないが、日本武道館など既存施設の改修がまだ残っており、契約済みも含め、それらへの影響が懸念される。
B 多くのゼネコンは、工事量の増加と施工の集中に伴って今秋以降にも労務・資機材の需給がひっ迫し始めると見込んでいる。ただ、公共工事の前倒し発注により、首都圏だけでなく、全国的に技術者が不足し始めているという話も聞く。都発注工事では、入札不調が減少しているものの、依然として保留や不調が見受けられており、この状況を小池新知事がどの程度理解しているのか疑問だ。
C いずれにしても小池都政がスタートを切った。新知事は、目指すべき東京の姿として「安心・安全なセーフシティー」「全ての人が輝けるダイバーシティ」「将来の成長戦略につながるスマートシティー」の3つのシティーを掲げ、その実現に向けて、一つひとつ取り組んでいくとの方針を示した。今後、どのような舵(かじ)取りを行っていくのか注目していきたいと思う。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿